求人検索エンジン「Indeed 」の日本法人であるIndeed Japanは、9月18日の「敬老の日」を前に、 60〜89歳の男女3万198名を対象とした「シニア世代の求職活動実態調査」を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
また、併せて60歳以降に「経済的な理由」で求職活動を実施したことのある1579名を対象に、採用された経験のある人とない人を比較。採用成功のためのポイントを探った。
調査実施の背景〜Indeedの求人/仕事検索データから見えること
総務省統計局によると、65歳以上の高齢就業者数は2004年以降、18年連続で前年に比べ増加し、2021年は909万人と過去最多となっている。
実際にIndeed上で「60歳/60代」「70歳/70代」に関連するキーワードを用いた仕事検索の推移を調査したところ、「60歳/60代」の仕事検索数は5年間で4.0倍、「70歳/70代」の仕事検索数は5年間で14.7倍に増加しており、シニア世代の就業意向が高まっている様子が推察できる。
一方、60歳以上を積極的に募集している求人割合を調査したところ、過去5年間で求人割合の増減はあったものの、2020年8月をピークに以降は右肩下がりの傾向が続いており、求職者ニーズとのギャップがあることがわかる。
この背景として、以下の3つの可能性が考えられると、Indeed Hiring Labエコノミストの青木雄介氏は話す。
「60歳以上の採用に意欲的な求人は、2020年8月をピークに下がっています。時期的には、第一次緊急事態宣言と第二次緊急事態宣言の間に位置し、パンデミックがだんだん深刻に感じられるようになってきた頃です。そういった状況を背景に、
(1)当時はまだワクチンが浸透しておらず健康リスクを考慮した企業が増えた可能性、
(2)コロナ禍に対面業務を中心とする求人数が大きく減少する中、将来の先行き不透明さから高年齢層を積極的に採用しようと考える企業が減った可能性、
(3)リモートワークへのシフトが急激に進み、労働者のITスキルや自主性が一層求められる中、採用企業は、高年齢層の人材に一様にITスキルがあるか・高年齢層の経験の活用が円滑に進むか等を不安視し、ある特定の層を積極募集するよりも、求職者個々人のポテンシャルやスキルにより向き合うことを優先するようになった可能性
などが考えられます」
Indeedの調査データからは、ますます増加する60代以降の求職者と、実際に企業が高年齢層の人材を積極採用しようとしているトレンドとの間に、大きなギャップがあることがわかる。
そこで今回、9月18日の「敬老の日」を前に、雇用の障壁やバイアスに直面することの多い60歳以降の求職者への支援やヒントに繋げたいと考え、60歳以降の人の求職活動の実態や、その中でも特に多い「経済的な理由」で求職活動をしている人に焦点を絞り、採用成功のポイントを明らかにするための調査を実施したという。