承認を機に通信技術のブランド名を『HD-PLC』から『Nessum』に変更
パナソニック ホールディングスが参画するIEEE標準規格協会(注1)の次世代通信規格IEEE P1901c(注2)の作業部会にて、同社が開発したWavelet OFDM(注3)方式をベースとする技術がドラフト1.0として8月に承認された。
本規格は、同じ変復調方式を様々な通信媒体(Any Media:有線、無線、海中含む)で利用可能であり、IoT社会を実現する通信手段の1つとして貢献することを目的としている。
同社は「この承認を機に、通信技術のブランド名『HD-PLC(注4)』から『Nessum(注5)』に変更し、さらなる普及を目指しグローバル展開を加速します」とコメントしている。
Nessum利用シーンのイメージ
今回技術ドラフトとして承認された次世代通信規格では、有線通信として利用周波数を従来のメガヘルツ帯からキロヘルツ帯まで拡張することで、様々な通信媒体での更なる通信の長距離化が可能となる。
また、アンテナを利用し、微弱電波による無線通信に適用することで、セキュアかつ通信範囲を制限可能な近距離高速無線(注6)が実現可能。加えて、従来困難とされていた海中でのIoT通信の実現にも貢献するという。
これまで同社は、この技術を有線通信に活用し高速電力線通信「HD-PLC」という名称で、2000年当初、家庭内での電力線を使った高画質の映像通信を目的としていた。
しかし現在この技術は電力線のみならず、同軸線や専用線にも活用できることから、ビルや工場などに広がっている。さらには近距離高速無線技術として、スマートファクトリー、海中・水中IoT通信での活用が始まっている。
このように技術の進化とともに当初の目論見を超えた領域でこの技術が活用され始めたため、今回のドラフト承認のタイミングで、そのイメージをグローバルに一新するため、ブランド名を「Nessum」にリニューアルした。
新ブランドロゴ
今後IEEEの国際標準規格として採択されると、世界中の様々な分野への導入が進むことにより、IoT機器の導入コストの低減にも貢献することが期待されている。
同社では「従来の『HD-PLC』同様、パナソニックグループにおける商品やサービスに活用すると共に、他企業にライセンス供与することで、同技術の幅広い普及に努めてまいります」とアナウンスしている。
注1:米国電気電子学会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)傘下の通信規格に関する標準化委員会
注2:IEEE標準化協会が2022年5月に承認・設置した新しいプロジェクト
注3:Wavelet OFDM:Waveletとは、局在する波(有限長で速やかに減衰する波)の関数のことを指す。データに対してWavelet変換を施すことで周波数解析などに用いられる。本技術では、離散Wavelet変換の一種をOFDMに活用。
注4:「HD-PLC」パナソニックグループが提唱する高速電力線通信方式の名称で、日本及びその他の国での登録商標もしくは商標。なお、PLCはPower Line Communicationの略称。
注5:「Nessum」およびそのロゴは、パナソニック ホールディングス株式会社の日本、その他の国における商標。
注6:Wavelet OFDMによる近距離高速通信技術は、2021年11月10日PaWalet link技術として発表。
関連情報
https://news.panasonic.com/jp/
構成/清水眞希