マスク着用が個人に委ねられている今、メイクを楽しむ人が増加傾向にある。ロフトでは2023年8月のコスメの売上が前年同月比で132.2%と成長しており、人気のアイテムも変化していると言う。ロフトの商品本部 健康雑貨部でメイクアップのバイヤーを務める石田千佳さんに、売上拡大の背景と2023年秋冬のトレンドを伺った。
指原莉乃さんのプロデュースコスメブランド「Ririmew」の新作。
コロナ禍で需要が落ち込んだ「リップ」が、売上回復
ロフトの商品本部 健康雑貨部 バイヤーの石田千佳さん。
2023年9月1日(金)より「ロフト コスメフェスティバル 2023AW-1st-」を開催し、メーカーの新作コスメ発売に合わせて盛り上がりをみせているロフトのコスメ売り場。「2023年3月よりマスク着用が個人の判断となってから、マスクで隠れていた部分のメイクアップアイテムの需要が高まりました。
それまではマスクに付きにくいファンデーションなどマスク着用を前提としたアイテムが多かったのですが、2023年秋冬の新作ではマスク着用に関係なく、メイクを楽しめるようなアイテムが各メーカーから新しく登場しています」と石田さんは話す。
Lakaの「フルーティーグラムティント(1,980円)」。
特に伸長しているコスメが「リップ」。やはり口もとはマスクで隠れていたため、アイシャドウなどマスクで見えていた部分に使うコスメよりも売上が伸びているそうだ。
石田さんによると、2023年秋冬のトレンドはマットよりもツヤのあるリップ。韓国発のジェンダーニュートラルブランド「Laka(ラカ)」の「フルーティーグラムティント」など、ツヤと透け感があるタイプが人気だ。ツヤのあるリップはマスクにつきやすいアイテムだったため、マスク着用義務から解放された今、自然と選ばれているように感じる。
BLEND BERRY「リップバルーン(1,650 円)」。
リップメイクはふっくらとボリュームのある印象に見せるのがトレンド。コーセーコスメポートの「BLEND BERRY」からは風船のようにボリューミーな口もとに仕上げるリップカラー「リップバルーン」が、そして指原莉乃さんのプロデュースコスメブランド「Ririmew」からは立体感のある唇に仕上がるリップライナー「リリミュウ マルチフィットライナー(1,540円)」が新発売となった。各メーカーはリップ需要の高まりを受けて、秋冬新作アイテムでさらなる売上拡大を狙っているようだ。
コロナ禍から人気が継続しているTIRTIR(ティルティル)のクッションファンデーション。
また、マスク着用時から需要のあったベースメイクも、ロフトでは引き続き伸長していると言う。マスクをとって人と対面することが増えたことにより、現在は崩れにくくカバー力のあるファンデーションが求められている。
石田さん「マスク着用時は崩れにくいファンデーションと、カバー力は低いけれど美容成分が豊富なファンデーションと、ニーズが2極化していました。マスクを外す人が増えたこの夏はとても暑かったことで汗によるメイク崩れを防ぐことができるアイテムが求められたため、崩れにくいファンデーションの需要が継続しています」
目立つ韓国コスメの台頭。ロフトでは約220ブランド取り扱う
日本初上陸となる韓国コスメ「WAKEMAKE」。
ロフトで今数を増やしているのが「韓国コスメ」。2023年10月2日(月)に発売となる韓国ヘルス&ビューティストア「OLIVE YOUNG」のプライベートブランド「WAKEMAKE」をはじめ、ロフトでは合計約220ブランドを取り扱っている。もはや韓国コスメは一過性のトレンドではなく、消費者にとって身近な存在だ。
韓国コスメとしては少し単価が上がるものの、人気の「ByUR(バイユア)」。
韓国コスメの価格帯や購入する年齢層は幅広く、プチプラのアイテムは10代?20代に人気。最近はファンデーションが3,000円台という、ロフトで取り扱うコスメとしては少し単価の高いアイテムも、20代?30代に選ばれているようだ。
Blink Blink「束感トップコート(1,320円 )」
韓国アイドルの影響で人気が高まっているアイテムが「マスカラ」。「現在、韓国では束感のあるまつげが流行っていて、それを簡単な技術でマネできるアイテムが売上を伸ばしています」と石田さん。
国内メーカーもその動きを見逃さず、「サボリーノ」など人気商品を生み出しているスタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニーは新たなブランド「Blink Blink」を立ち上げた。その第一弾商品となる「束感トップコート」は、まさにトレンドの束感まつげを作れるアイテムだ。
ちなみに束感まつげとは1本1本が分かれているまつ毛ではなく、まつ毛が束になることで太く見えるというもので、本来はピンセットで1束ずつまとめていく必要がある。しかし、このアイテムは塗るだけで、束感のあるまつげが作れるのだ。
マスクを外してメイクを楽しむ人が増えた今、メーカーもトレンドに合わせて工夫を凝らした新商品を発売している2023年秋冬。特にリップメイクは今まで抑制されていたからこそ、夏に続きこの秋冬も注目を集めるだろう。リップをはじめコロナ禍で需要が顕著に落ちた商品の販売促進は、今後の売上拡大のポイントとなりそうだ。
取材・文/小浜みゆ