MediaTekとTSMCは、MediaTekがTSMCの最先端3nm(ナノメートル)技術を使用したチップの開発に初めて成功し、MediaTekのフラッグシップ製品であるDimensityシステムオンチップ(SoC)として2024年にも量産を開始する予定だと発表した。
TSMCの3nmプロセス技術は、ハイパフォーマンスコンピューティングとモバイルアプリケーションの両方に対する完全なプラットフォームサポートに加え、性能、電力消費、歩留まりを向上。TSMCの3nm技術は現在、同社のN5プロセスと比較して、同じ消費電力で 18%の速度向上、または同じ速度で32%の電力削減を実現し、ロジック密度は約60%向上している。
業界をリードするプロセス技術で構築されたMediaTekのDimensity SoCは、モバイルコンピューティング、高速コネクティビティ、AI、マルチメディアに対するユーザーエクスペリエンス上の要件がますます高まることを想定して設計されている。TSMCの3nmプロセスを採用した MediaTek初のフラッグシップチップセットは、2024 年下半期からスマートフォン、タブレット、インテリジェントカー、そのほかさまざまな機器に搭載される予定だ。
なお、今回の発表について、両社は「これは、MediaTekとTSMCの長年にわたる戦略的パートナーシップにおける重要な出来事であり、両社はチップ設計と製造におけるそれぞれの強みを最大限に活用し、高性能かつ低消費電力なフラッグシップSoCを共同で開発することで、世界中のさまざまなエンドデバイスの進化に貢献します」とコメント。
また、MediaTekプレジデントのJoe Chenは以下のようにコメント。
「当社は、世界最高の技術を活用し、私たちの生活を一変させる最先端の製品を生み出すというビジョンを掲げています。TSMCの安定的で高品質な生産能力のおかげで、MediaTekのフラッグシップチップセットにおける優れた設計が完全に活かされます。これにより、世界中の顧客に最高の性能と品質を兼ね備えたソリューションを提供し、フラッグシップスマートフォンの市場におけるユーザーエクスペリエンスを向上させることができます」
さらに、TSMCのアジア・欧州セールスおよび研究開発担当シニアバイスプレジデントのCliff Hou 博士は次のように述べている。
「MediaTekとTSMCがMediaTekのDimensity SoCで協業することは、業界最先端の半導体プロセス技術がポケットの中のスマートフォンのように身近なものになることを意味します。長年にわたり、当社はMediaTekと緊密に協力し多くの重要なイノベーションを市場に提供してきました。3nm世代、さらに将来に向けて協業できることをうれしく思います」
構成/立原尚子