舌下免疫療法で治療できるアレルギー
現在舌下免疫療法によって治療できるのは、以下の2つのアレルギーです。
● スギ花粉症
● ダニアレルギー性鼻炎
上記以外のアレルギーに対する効果は未だ認められておらず、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と診断された患者さんのみ舌下免疫療法を受けることができます。
舌下免疫療法のメリット・デメリット
舌下免疫療法は長期間をかけてアレルギーを治すことができる画期的な治療法ですが、デメリット(注意点)も存在します。
【メリット】
● スギ・ダニによるアレルギー体質を抜本的に治療できる
● スギ・ダニによるアレルギー症状を緩和することができる
● 2回目以降は病院へ行かずに自宅で治療できる(※)
● 治療が終了した後、特に症状が出なければ通院する必要はない
● 健康保険適用なので費用の自己負担が少なく済む
● 自治体によっては子ども医療費助成制度を利用して治療を受けられる
※ 初回は必ず病院で治療してもらい、経過を観察します。ただし、それ以降も経過を観察したり、薬を処方する必要もあるため、全く行かなくてもいいわけではありません。
【デメリット】
● 長期間の治療が必要(平均で3年~5年程度)
● 副作用が起こる可能性がある
● 年齢や健康状態によって治療を受けることができないケースがある
● 治療が効かない(3年間継続しても効果が現れない)ケースがある
● 全ての人にとってアレルギー体質の改善が叶うわけではない
舌下免疫療法の治療を受けられない人
舌下免疫療法は5歳以上の子供でも可能なほど高い安全性が認められていますが、以下に当てはまる方は治療を受けることができません。
● 5歳未満の子供
● 重症気管支喘息の方
● 悪性腫瘍(がん)、自己免疫疾患、免疫不全疾患患者の方
● 全身性ステロイド薬を投与している方
● 口腔内の手術後や抜歯直後の方(口腔内にケガや炎症がある方)
● 妊娠中、授乳中の方 など
65歳以上の方は対象外にはなっていないものの、効果が弱まることが予想されています。国内で65歳以上の方に舌下免疫療法が行われることはほとんどありません。
上記以外にも持病や服薬中の薬などの懸念点がある場合は事前に医師に申告し、相談のうえで舌下免疫療法を行うかどうかを決めましょう。
舌下免疫療法で起こり得る主な副作用
まれに、舌下免疫療法によって副作用が起こることがあります。
軽度のものだと15~20%程度、重度のもの(アナフィラキシーショック)だとおよそ1億分の1程度の確率で起こるとされています。ただし、これまでに死亡例はありません。
ほとんどの場合、軽度の副作用は抗アレルギー剤を内服することで改善されます。
● 口腔内や唇の腫れ、かゆみ
● 喉の違和感、不快感
● 耳のかゆみ
● 目のかゆみ
● くしゃみ、鼻水
【重度の副作用】
● アナフィラキシーショック(じんましん、嘔吐、腹痛、血圧低下、喘鳴、呼吸困難、意識低下など)