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au「マネ活プラン」やワイモバイル「シンプル2 S/M/L」で見えてきたキャリアの新たな料金戦略

2023.09.16

マネ活的プランは他社もできる?

房野氏:マネ活プランは浸透するでしょうか。

法林氏:auマネ活プランはKDDIがやったけど、本当はこの3年の間に楽天モバイルがやってなきゃいけなかったプランなんですよ。とっとと作っていなきゃいけなかった。それができてないのは、以前この座談会でも指摘されたけど、グループ内が実はバラバラなことで、まさにここに影響している。

石野氏:楽天は、モバイルを契約するとポイントが最大3%上がるだけなんですよ。auマネ活プランはポイントだけじゃなくて、メリットを金利やau PAYの還元率に反映させたと考えるとシンプルかもしれないです。楽天も、できるのにやっていないのは勿体ない。

石川氏:聞くところによると、銀行の金利や手数料って、本来はルール上、全員に均等に、公平に提供しなきゃいけないんだそうです。ただ、今回のauマネ活プランは、KDDIがその原資を出しているんだそうです。だから許される。

法林氏:KDDIは銀行じゃないからね。

石川氏:楽天がやろうとすると、楽天銀行と楽天証券に対して楽天モバイルが原資を負担しなきゃいけない。つまり、楽天モバイルは今、お金がないのでできないんじゃないか、という推測がある。

法林氏:でも、別にグループが出せばいいんでしょ?

石川氏:グループで持たなきゃいけないというか……

法林氏:楽天銀行が原資を出すのはアウト。だけど楽天グループとか楽天カードとか楽天市場が出すならOK。

石川氏:モバイルがやるには苦しいからできない。

法林氏:ただ、銀行が全員に対して均等かといったら、そんなことはない。住宅ローン金利は人によって違う。「Aさんは信用できるから金利マイナス1%にします、Bさんは信用がないからプラスマイナスゼロです」ということはある。信用できるところが紹介しているからマイナス1%とか、たくさんある。

石川氏:そういうことを考えると、ドコモはできないなと。ドコモは大丈夫なのかなと。

法林氏:通信と何を絡めるのかという中で、今まではショッピングとか色々な付帯サービスがあって、それを一生懸命やっていたんだけど、次にやらなきゃいけないのは当然お金。ライフプランの設計とかになってくる。そこは材料を持っているKDDIがやりやすい。ソフトバンクも一応、材料は持っている。

房野氏:ポイントの取り扱いが最も多いキャリアってどこなんですか?

法林氏:一応、楽天ですか。

石川氏:発行額だと楽天グループが圧倒的。

石野氏:楽天グループは消化率も高い。キャリアとして見たら契約者数が500万人超えたくらいなので、楽天モバイルとしては少ないですが、グループとして見たら1番発行額は多いと思います。

法林氏:各社の金融サービスを実際に使っている感覚としては、PayPayはユーザー数も含めて圧倒的に強い。ただ、PayPayはあくまで決済手段で、その先のポイント運用などには結びついていない。PayPayのポイントを使った見かけ上の投資信託、PayPayポイント運用は増えていると言われているけれど。

房野氏:投資信託ではないんですね。

法林氏:投資信託相当という言い方をしている。PayPay証券に口座を持たないと、リアルに投資信託を買ったことにはならない。あくまでもポイント運用は「この投資信託のカーブと同じカーブで運用したことにします」というもの。インデックス運用に近い。結局、PayPay証券に口座を持たないといけないんだけど、PayPayのメニューの中でできることがPayPay証券のアプリとかPayPayの資産運用とか複数になってきちゃっているので片付いてない。銀行もあるんだけど、なにもできていない。以前、この座談会で取り上げたLINEとYahoo!の連携ができていない話にもつながる。

 その点、auはじぶん銀行を作って、カブコム証券を傘下に収めて、auフィナンシャルホールディングスにした。勝木さんの下にauじぶん銀行があり、投資信託をやっているauアセットマネジメントもある。KDDIは金融事業が重要になることがわかっていて、いち早く体制を整えていた。そして今回、auマネ活プランを出すべくして出した。

房野氏:KDDIはなぜそういった統合ができたのでしょうか。

法林氏:勝木さんのおかげだと思います。彼がよく理解しているんだと、僕は思います。

房野氏:勝木さんってKDDI出身の方なんですよね?

法林氏:ケータイ時代に、じぶん銀行を作る時にそっちに行った。調べてみると、1989年にDDI入社、コンシューマ事業企画本部を経て、2008年にじぶん銀行に行っている。たぶん、じぶん銀行に行くまでは、KDDIでコンシューマ事業をやっていたんでしょう。

石川氏:前年の2007年に金融ビジネス部副部長になっている。

法林氏:それがじぶん銀行を作る時にできた部門。たぶん勝木さんって、2006年におサイフケータイのSuica対応でauが先行した、あの時の担当者だったんだと思う。元々ケータイだけど、お金に強い部門にいた。

房野氏:ビジュアルがすっかり銀行の人っていう印象ですよね(笑)

法林氏:実は登山家です(笑) 国内外の有名な山に登ってる。

石野氏:先ほども言いましたが。明らかに金融の偏差値が高い人ですよ(笑)

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