auマネ活プランは新時代の料金プラン
法林氏:Y!mobileのシンプル2は正統進化。PayPayカード割は他社対抗上、やらざるを得ない。唯一突っ込み所は、20GB以上使うような人が1GB以下になるかってこと。一応「あります」ということだったけど。まぁ、Y!mobileはそんな感じ。
auマネ活プランは、難しいことを考えるIQの高い人のための料金プランという評価もあると思うんですけど……ちょっと方向性を変えた感じかな。かつて携帯電話の料金を、毎月請求書でキャリアのショップもしくは口座振替で払っていたけど、途中からクレジットカードを使うようになってきて、キャリアもドコモが「DCMX(現dカード)」を作り、KDDIもソフトバンクもクレジットカードを作り、10%還元になった。
携帯電話料金はどうやったって、毎月払うもの。払わないってことはない。もし、。安く使いたいんだったら、月額500円のプランとか、povoみたいなサービスもあるので、いくらでも安く使えるし、最近はデータ容量の繰り越しも各社やっている。ただ、KDDIは払うだけの料金の時代ではないものを作ろうとしているのかなと僕は思った。携帯電話料金は必ず払うわけだけど、KDDIはそこから何か違う価値を生み出すことを考えているんじゃないかな。数字だけの競争にしないという意味でも僕は良かったと思う。ただ、KDDIとしては発表時に、いろいろ事例を挙げながら説明したつもりなんでしょうけど、なかなか伝わらないでしょうね。
石川氏:単に割引しちゃうとユーザーって割引されていることを忘れちゃうんです。でも毎月10%とか20%返ってくるってことをやると、毎月増えて目に見えてわかる。そこで愛着が上がるというか忠誠心が高くなるというか。ああいう見せ方は非常に王道パターンだなぁって気がする。
法林氏:ドコモの場合、通信料金を家族でまとめて決済すると、還元されるdポイントは親回線の総取りじゃないですか。僕は親の総取りで全部自分のところに来ますけど、それをポイント投資しているんですよ。もう2年近くやっていて、結構な金額になっている。やっぱり投資すれば増える。ちゃんと銘柄も選べる。auのPontaポイントは家族間でポイントをその都度、送って、まとめる必要があるけど、結果的に家族の分も集めることができる。au PAYカードでもPontaポイントが貯まるけど、気がつくと結構貯まっている。それが見えるといいサイクルに入る。
携帯電話業界的なベクトルで見ると、リテンションというか囲い込みだという話になるんだけど、ユーザー側の視点で見ると、この会社と付き合ってると、ポイントたくさん貯まって投資もできて、結果的に「携帯電話料金がチャラになるくらい、もしかして投資できるか」みたいなことにもなりかねない。そういう一面もある料金プランだと思う。
単純な料金競争でこれだけ安くなるという話ばかりが強調されてきたけれど、そうじゃないことを始めようとしたのは良かったと思う。
石野氏:「マネ活」っていう名前、実は楽天も使っていたという話もあって……
石川氏:大丈夫、「au」が頭に付いているから(笑)
石野氏:マネ活はポイ活のアナロジーというか、ポイ活を進化させるという意味でマネ活っていう名前を推しているんですけど、よくよく考えてみればポイ活してる人って、めっちゃ複雑なポイントのルールとか、「ポイント三重取り」とか、いろいろ考えている。
石川氏:それが楽しいんだよね。
石野氏:そう、それを楽しんでいる。そういう意味で、あのごちゃっとした表のauじぶん銀行が金利0.1%優遇とか、au PAYが還元率0.5%上乗せとか、あれを計算するのが楽しいというか、ああいうのが好きな人向けなんだろうなっていうのは、すごく伝わってきました。自分が計算していたらだんだん楽しくなってきたので。1億円なんて持っていないのに「auじぶん銀行に1億円預けたら毎年10万円ぐらい戻ってくるのか」と思ってそう投稿したら、KDDIから電話がかかってきて「0.1%優遇が適用されるのは1000万円までです」と(笑)
法林氏:発表会のプレゼンの中にもあったけど、すでにauじぶん銀行やauカブコム証券に口座を持っている人、au PAYカードを持ってる人は結構いるので、その人たちにとっては、マネ活プランに切り替えれば、Pontaポイントや資産が増える可能性が高い。「UQ mobileで安いプランにして節約した方が、マネ活プランより貯まる」っていう声もネット上にはあったけど、そういう人が対象じゃないということですよね。ユーザーそれぞれの解釈には結構幅がある。
石川氏:UQ mobileを契約してお金を節約したいっていう人もいるし、一方でお金を増やしたいっていう人もいる。来年から新NISAも始まるので、新NISAでちょっと投資を始めてみようかなっていう気になれば、「auカブコム証券の口座を開設して始めようかな」となるような人もいる。
法林氏:証券の口座手数料は今、ほとんどナシだからね。口座を作ってPontaポイントで貯まった1000円で……25分割で安くなったNTT株を買うのはどうかと思うけど(笑)、使うのは自由なので。ちまちま株を買うのも、それはそれでいい。もちろん株なので下がることもあるけど。auマネ活プランは、そういうことをしたい人向けの料金プラン。