走行性能は?
最後に走行性能をハイブリッドモデルで比較すれば、ステップワゴン・スパーダe:HEVモデルはもちろんモーター走行でスタート。実にスムーズで静かだ。速度を高めていけば主に発電を担うエンジンが始動するものの、そうとは気づきにくいエンジンノイズ・振動の遮断のうまさによって車内の静かさが保たれる。32・1km/Lものトルクを発揮するモーターの力強さは2・5Lエンジン並みと言って良く、電動感の強い加速感は先代の非ではないレベルにある。16インチタイヤを履く乗り心地はちょっと硬め。しかし言い方を変えれば、ドシリとした骨太感ある、エアロ&スポーティグレードたるスパーダ系らしい乗り味ということになる。ちなみに17インチのコンフォート寄りのタイヤを奢る最上級グレードのプレミアムラインだが、一般道でスパーダとの乗り心地の差はさほど感じられなかった。
操縦性に関しては、ボディ剛性の高さはもちろん、車幅拡大に伴うワイドトレッド化、リヤサスのストロークアップなどによって、常に4輪の接地荷重変化を最小限に抑えた、タイヤの接地性に優れた安定感抜群のフットワークを示す。山道走行での安定感、安心感の高さも特筆モノである。車酔いのしにくさも自慢である。
そして車内の静粛性はFFモデル限定だが、素晴らしく静かで、ボックス型ボディにつきもののこもり音も徹底排除され、終始、快適。ただ、4WDモデルになると騒音面でいきなり不利になる・・・。
17インチタイヤを履くノア&ヴォクシーのハイブリッドモデルを走らせれば、出足から先代とは比べ物にならないスムーズで静かかつ、トルキーな加速力を発揮。乗り心地も1/2列席に限れば段差をしなやかにいなし、ゼブラゾーンも不快感なく走破する、フラット感たっぷりの乗り心地を示してくれる。操縦性はパワーステアリングが車速にかかわらず軽く扱いやすく、首都高のカーブもごく自然に気持ち良く曲がれ、その際のロール感は最小限。1900mm前後の車高、重心の高さなど感じさせない走行感覚を見せつけてくれるから、あらゆる走行シーンにおいて、走りやすく安心・安全だ。山道を爽快に飛ばすことも容易だ。ただし、モーター走行時の車内静かさは当然としても、1・8Lエンジンが主体の走行シーンになると、とたんにエンジンノイズが騒々しく耳に届くのも事実。3列目席はロードノイズの侵入が気になりがちだ。
が、新型ノア&ヴォクシーは走行安全面での大きなアドバンテージを持っている。それが、標準装備されるトヨタセーフティセンスに含まれるプロアクティブドライビングアシスト(PDA)の制御だ。歩行者や自転車運転者の横断などを先読みした運転を支援し、(具体的には減速と操舵支援)、カーブ手前では減速制御を行い、さらに日常的に有難みを感じる、先行車との距離を保ち、カーブ手前での減速制御まで備えている。そうした制御を日常域、一般道で使える安全面でのメリットは絶大だと思えてならない。
16インチタイヤを履くe-POWERハイウェイスターの走りはまず、1.4Lとなった発電専用のエンジン+モーターによる、クラスでもっとも電動感の強いドライブフィールが特徴的。なにしろ駆動は100%モーターなのである。当然、車内は静かで、たとえ発電専用のエンジンが回っても、エンジンノイズは気にならず、エンジンが高回転まで回っているときの車内の静粛性は、こもり音のなさやロードノイズの抑え込みを含め、クラスベストと断言できる。パワーステアリングの操舵フィールは軽く扱いやすく、切る、戻す両方向のスムーズさが印象的。全方向の視界の良さ、ボディの見切りの良さとともに、運転のしやすさを実感しやすい運転感覚が魅力となる。乗り心地にしてもしっかり感と快適さのバランスが見事。操縦性は穏やかに躾けられているが、安心感、安定感の高さは文句なしである。