電力会社の選択時の重視点に基づき、消費者を6つのクラスターに分類
電力会社の選択する際における重視点の特徴をもとに消費者を分類するために、クラスター分析*を行ったところ、6つの選択重視点別クラスターに分類された。各クラスターの特徴は以下の通りとなる。
*クラスター分析とは:集団の中から、似た傾向を持つ人同士をグループ化する統計的な手法。消費者の意識や行動特性によりグループ化する際に用いられ、マーケティングのターゲティング戦略などに活用される。
6つの選択重視点別クラスターのうち、最も割合が高いのはコスパ重視層(37.5%)であり、次いで信頼性重視層(15.1%)、サービス重視層(14.1%)となった。
サービス重視層のロイヤルティが高い傾向に
選択重視点別クラスター別にロイヤルティを測る指標であるNPS(Net Promoter Score)を分析したところ、最もNPSが高いのはサービス重視層(-35.7ポイント)となり、いずれの企業においても同クラスターはNPSが高い傾向となった。
サービス重視層においては、マイページの利用率や節電チャレンジ・節電プログラムの実施率が高く、かつこれらの満足度が高い結果となった。サービス重視層の構成比は全体の14.1%と小さいものの、マイページや駆けつけサービス、コールセンターといった電力会社が提供するサービスに対する期待の充足がロイヤルティにつながっているとみられる。
「NPSベンチマーク調査2023【電力】」の調査結果において、NPSが高い企業3社でそれぞれ属するクラスターを比較したところ、一般電気事業者Aでは全体と比較してサービス重視層の割合が高く、新電力のB社では信頼性重視層、同じく新電力のC社ではコスパ重視層の割合が高い傾向になるなど、各社ごとにクラスターの構成比に違いがみられた。自社の顧客が重視する層の特徴やボリュームを把握していくことが求められる結果となった。
節電チャレンジ・プログラムの利用意向が高い。選択重視点別クラスターによって求められるサービスは異なる
エネルギー会社が提供するサービスのうち、利用したいサービスを調査したところ、最も高いのは「節電や節ガスの取り組みに応じたポイント付与や割引(節電チャレンジなど)」(36.6%)となった。以下、「電気設備の点検・処置・修理の駆けつけサービス」(28.9%)、「ウェブページや公式スマホアプリでの日々の電気利用料のお知らせ(プッシュ通知等)」(28.3%)が続いた。
さらに、「節電や節ガスの取り組みに応じてポイント付与や割引がある(節電チャレンジなど)」の利用意向について、選択重視点別クラスターごとに分析したところ、環境配慮重視層、サービス重視層、信頼性重視層において特に利用意向が高い結果となった。
この他の項目でもクラスターごとに利用意向が高いサービスに違いがみられ、自社のクラスター構成比を踏まえて、クラスターごとに求められるサービスを提供することの重要性が示唆される結果となった。
<調査概要>
調査対象企業(アルファベット順、50音順)
一般電気事業者:関西電力、九州電力、四国電力、中国電力、中部電力ミライズ、東京電力エナジーパートナー、東北電力、北海道電力、北陸電力
新電力:auでんき、ENEOSでんき、J:COM電力、大阪ガス、ソフトバンクでんき、東京ガス
調査対象者:インターネットリサーチモニターのうち上記電力会社の契約者
調査方法:NTTコム リサーチによる非公開型インターネットアンケート
調査期間:2023/7/28(金)~ 2023/8/1(火)
有効回答者数:4,350名
回答者の属性:
【性別】男性:51.2%、女性:48.8%
【年代】20代以下:6.1%、30代:12.4%、40代:23.2%、50代:21.1%、60代以上:37.2%
出典元:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
構成/こじへい