7月の道交法改正では、「特定小型原動機付自転車」というものが登場し各メディアから大注目された。
これには電動キックボードが含まれ、賛否両論ありつつも我が国に新モビリティーが確立した瞬間でもあった。
しかし、具体的な注意点を把握している人はまだまだ多くないはず。この記事では特定小型原付区分の電動キックボードに関する交通法規についてまとめつつ、要所を解説していきたい。
特定小型原付の電動キックボードとは
まずは、特定小型原付に区分される電動キックボードのスペック・仕様について記載していこう。参考ページは警察庁公式サイト「特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について」から。
【車体の大きさ】
長さ:190センチメートル以下 幅:60センチメートル以下
【車体の構造】
・原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること。
・20キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと。
・走行中に最高速度の設定を変更することができないこと。
・AT機構がとられていること。
・道路運送車両の保安基準第66条の17に規定する最高速度表示灯が備えられていること。
(警察庁公式サイト「特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について」)
注目すべきは「定格出力が0.60キロワット以下の電動機」と、「20キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと」である。たとえば定格出力が規定通りでも、最高時速を超えてしまっている場合は特定小型原付ではなく、一般原付に区分される。
特定小型原付は免許は不要、ヘルメット着用は努力義務、そして16歳から公道で運転することができる。しかし一般原付は免許、ヘルメット共に必須。運転できる年齢は18歳以上である。
その上で、「最高速度表示灯」に注目する必要もある。特定小型原付の電動キックボードで歩道を走行する際、時速6kmを越えてはならない。それを周囲の歩行者に知らせるために最高速度表示灯という保安部品がある。
また、走行中に最高時速の設定を変更できる仕組みになっていないことも求められる。
歩道走行の注意点
「電動キックボードは歩道を走行できる」というのは、実は相当な誤解を含む言葉である。
というのも、電動キックボードは基本的に「車道走行」をしなければならないものだからだ。
車道と歩道又は路側帯の区別があるところでは、車道を通行しなければなりません(自転車道も通行することができます)。
(同上)
警察庁公式サイトでは「例外的に歩道等を走行できる場合」と区切り、以下のような解説を行っている。
特例特定小型原動機付自転車に限り、道路標識等により歩道を通行できることとされているとき(※)は、その歩道を通行することができます。
※「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識が設置されている場所等を指します。
ただし、歩道を通行するときは、その歩道の中央から車道寄りの部分又は普通自転車通行指定部分を通行しなければなりません。
(同上)
これはどういうことかというと、「電動キックボードが走行できない歩道もある」という意味だ。故に、電動キックボード搭乗者は二輪車や四輪車を運転している時と同じように、道路標識を確認しなければならない。
特定小型原動機付自転車は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはいけません。
【罰則】3月以下の懲役又は3万円以下の罰金
(同上)
特定小型原付は二段階右折
次は「信号機のある交差点での右折の仕方」について。
特定小型原付の電動キックボードは、この場合は「二段階右折」をしなければならないと定められている。
信号機等により交通整理の行われている交差点では、青信号で交差点の向こう側まで直進し、その地点で止まって右に向きを変え、前方の信号が青になってから進む、いわゆる「二段階右折」をしなければなりません。
(同上)
このあたり、電動キックボードの軽快さに任せてそのまま右折してしまう人もいるのではないか。しかし、二段階右折の無視は5万円以下の罰金が課せられることがあるので注意したい。