今では多人数乗車、国産ミニバンの中心になっているのが、Mクラスボックス型ミニバンである。アルファード、エルグランドが君臨するLクラス、シエンタ、フリードが属するSクラスの中間に位置し、スライドドアを備え、ボックス型ならではのゆとりある室内空間に3列シートを配した、取り回し性にも優れるある意味万能のクルマと言っていい。
そんなMクラスボックス型ミニバンは、トヨタ・ノア&ヴォクシー、ホンダ・ステップワゴン、そして日産セレナがしのぎを削っているのだが、6代目新型セレナが登場したことで、Mクラスボックス型ミニバンの最新型が出揃ったことになる。
「セレナe-POWER ハイウェイスター/ルキシオン」試乗レポート
ここでは、前回、お伝えした新型セレナの概要、パッケージの報告に続き、新型日産セレナのe-POWER、ハイウェイスター、および最上級グレードとなる、プロパイロット2.0を搭載するルキシオンの試乗記をお届けしたい。
まず、新型セレナの魅力と言えるのが、日産自慢の100%電動駆動となるe-POWERを用意していること。そしてライバルとは違い、クラス唯一の5ナンバーとなるボディ(ガソリン標準車)を基本にし(最大全幅1715mm=3ナンバー)、最上級グレードのルキシオングレードを除き、2列目席キャプテン&ベンチシート自在による全車8人乗りを実現。さらにボックス型ミニバンのウィークポイントである車体後方にスペースのない場所に止めてもラゲッジスペースの荷物の出し入れを容易にするデュアルバックドアを先代に引き続き採用していることなどが挙げられる。
さて、新型セレナのe-POWERハイウェイスターに乗り込めば、新型らしさは一目瞭然。何しろメーターパネルはフードレスのタブレットのような大型液晶メーターとなり、その横に大型液晶のセンターディスプレー(純正ナビ)が並ぶ、電気自動車のアリアを思わせる先進感が演出され、シフターもプッシュボタン式電制シフトが採用されているのである。
もちろん、ファミリーミニバンとして不可欠な”運転のしやすさ”もぬかりなし。パノラミックなフロントウインドー、特徴的な前席ショルダーラインのシュプールライン、先代より下端が低まったリヤウインドー=デュアルバックドア部分によって、全方向の視界はルーミーだ。
e-POWERハイウェイスターで走り出せば、出足からモーター走行。100%電動駆動の電動感の極めて強いドライブフィールを味わせてくれる。軽くスッキリとしたパワーステアリングの操舵感も好印象。誰もが運転のしやすさを実感できるに違いない。ちなみに、贅沢なデュアルピニオン式パワーステアリングのラックマウントは、世界のコンパクトカーのベンチマークであり続けている、歴代ゴルフの超完成形と言われているVWゴルフのⅦをベンチマーク(フロントサスも)にしているとのことだ。