記録的な「値上げラッシュ」の要因となった原材料高の影響が落ち着きつつある。そこで帝国データバンクは、2023年以降の値上げ傾向と今後の見通しについて調査・分析を実施。先日、結果が発表されたので、本稿ではその内容を一部抜粋してをお伝えする。
「原材料高」値上げ 存在感低下〜1月以降低下、10月は最小の83%
記録的な「値上げラッシュ」の要因となった原材料高の影響が落ち着きつつある。23年以降の国内の主要な食品や飲料メーカー195社・約3万品目の値上げデータを基に分析したところ、野菜や食肉、食用油といった食材価格の高騰に起因した「原料高」を理由とした値上げの割合は98.8%とほぼ全量を占めた。
ただ、月別では1月(100%)以降徐々に割合が低下し、10月は年内で最も低い83.3%にとどまるなど、値上げにおける「原材料高」の影響が沈静化しつつある。
22年に比べると食材価格の上昇ペースは落ち着きがみられるほか、価格への転嫁が浸透・一巡したことによる収益力の改善も寄与したことが、値上げ要因としての存在感低下につながったようだ。
他方、足元では1ドル=140円台の円安水準の長期化で、輸入食材における調達コストが年末にかけて増加する可能性があり、「原材料高」による値上げが再び存在感を増す恐れもある。
原材料高以外にも、原油・ガソリン価格の上昇で物流費の負担が増しているほか、食品用フィルムなどプラ製の包装資材価格の高騰が各食品のコスト増につながっており、「値上げ」そのものは24年以降も続く可能性が考えられる。
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構成/清水眞希