2023年5月に登場した三菱の軽スーパーハイトワゴン「デリカ ミニ」が好評だ。2023年1月に予約注文の受付を開始し、発売直前までの受注台数は約9000台。発売前の月販目標台数は2500台だったので、発売時点ですでに4か月待ちという状態。
「ekスペース」から「デリカ ミニ」へ
「デリカ ミニ」はターボエンジンの「T/Tプレミアム」と自然給気の「G/Gプレミアム」の4グレード。それぞれにFF、4WDが設定されている。人気は、4WDで全体の6割を占め、グレードでは上級のプレミアムが8割を超えている。そこで、試乗は人気No.1のターボモデルのプレミアム、4WDをチョイスした。
三菱の軽自動車シリーズは、全高1650mmのエントリーモデル「ekワゴン」と同じ全高の「ek X(クロス)」というハイトワゴンに、全高1780mmのスーパーハイトワゴン「ek スペース」。それにEVの「ek X EV」があった。しかし、販売とユーザー認知度はイマイチ。車名の「ek X」も覚えずらかった。ek=いい軽 X=クロスというのだが、馴染めなかった。
その状況の中で「ekスペース」のマイナーチェンジ実施計画が進められた。いくつかの案が出た中で、もっと人々に覚えてもらえるネーミングにしたい、という声が女性陣の中で高まった。そこで浮上したのが、同社のSUVのもうひとつの顔である「デリカ」だった。「ミニ」という車名は、日本でもBMWが「ミニ」での登録を幅広くしており、なかなか使えないのだが、幸いに「デリカ ミニ」は抵触しないことも判明した。
こうして「ekスペース」は「デリカ ミニ」として再スタートを切ることになった。開発陣も力が入った。「デリカ」を名乗る以上、中途半端なクルマは出せない。でも、共同開発する日産「ルークス」との絡みもある。しかし、三菱の技術陣は頑張った。4WD車のリアサスを変更し、15インチホイールを装着したのだ。ショックアブゾーバも前後共伸び側、縮み側ともに拡大し、走破性を高めた。
デザインも最近の三菱車の顔である縦長のヘッドライトを捨て、薄型丸目の2灯ヘッドライトで、ワイルドさと機能美を強調している。このスタイリングは、とくにファミリー層の女性陣から好評だった。ブスカワイイ系の「デリカ ミニ Tプレミアム4WD」の外観をチェックして運転席に座る。全高が1800mmのボディは、着座位置を高めにしても、頭上のスペースは余裕。高めの着座位置からは斜め後方や前方の視界もよくクルマの感覚をつかみやすい。前席前のコンソールもないので、助手席とのサイドスルーもできる。インパネシフトのミッションは、P/R/N/D/DSの5ポジション。