2022年度の国内旅行の取扱額、2兆3,899億円とコロナ禍前に迫る
「主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」(観光庁)をみると、2019年度に4兆5,695億円だった旅行総取扱額は、翌2020年度には78.3%減の9,922億円まで激減した。
とくに「海外旅行」は前年度比97.7%減、国内の旅行会社が取り扱うインバウンド旅行の「外国人旅行」は同95.9%減と需要がほぼ消失、「国内旅行」も同63.1%減少した。主要旅行業者の多くが最終赤字となり、店舗の閉鎖や人件費の削減などを強いられた。
2021年度はワクチン接種の進行や国内の移動制限の緩和により、総取扱額は1兆4,574億円(同46.9%増)とわずかに回復した。
新型コロナ前の水準には届かないものの、国内外の需要回復を受け、2022年度の主要旅行業者では業績が上向いた企業も増えた。また、旅行総取扱額は同99.7%増の2兆9,102億円となり、なかでも「国内旅行」は2兆3,899億円と、2019年度の2兆5,547億円に迫る勢いとなった。
企業からは、「出張等の人の移動が回復してきている」「宿泊をともなう研修計画や2024年度の新入社員研修の問い合わせが増えている」などの声が聞かれ、観光目的の旅行だけでなく、ビジネス関連需要も活発化している。一方で、「海外旅行」は4,546億円で前年度から大きく増加しているものの、2019年度比では74.6%減の水準にとどまっている。
為替の円安進行や欧米の物価高騰が影響していると考えられ、本格的な回復はしばらく先になりそうだ。
調査概要
調査期間/2023年7月18日~7月31日(インターネット調査)
調査対象/2万7768社、有効回答1万1265社(回答率40.6%)のうち旅行産業
調査機関/株式会社帝国データバンク
関連情報
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構成/清水眞希