日本人の食事の基本となる米に、『新米』『古米』という区別があるのを知っていますか?食事を楽しむためにも、新米と古米それぞれの違いと、簡単にできる見分け方を確認しましょう。適切な保存方法や、おいしく炊くコツも詳しく紹介します。
新米と古米の違いって何?
米は野菜や肉と違い長期保存できるため、鮮度を気にしたことがないという人も多いのではないでしょうか。まずは新米と古米が区別されるポイントを解説します。
収穫からの時間がポイント
新米と古米は『米穀年度』で区別されます。米穀年度とは、毎年11月1日〜翌年10月31日を区切りとする、その年の新米が出てから翌年の新米が出るまでの期間です。
もともとは、1995年に廃止された『食糧管理法』という法律の中で使用されていた概念で、現在は米農家など業者間で使われる指針となっています。
なお、食品表示基準では、以下が新米とされ、『新米』と表示しての販売が可能です。
- 原料玄米が生産された当該年の12月31日までに容器に入れられるか包装された玄米
- 原料玄米が生産された当該年の12月31日までに精白され、容器に入れられるか包装された精米
出典:新米の表示の定義を教えてください。また、新米を美味しく炊く方法についても教えてください。:農林水産省
無洗米の場合
『無洗米』とは、とぎ洗いしないで炊くことができる米です。調理時間や水の使用量を節約できるのがメリットで、昨今は広く普及しています。
無洗米をとがなくてよいのは、ぬかの付き方が精白米とは異なるためです。まず収穫されたままの玄米から、精米して表面のぬかと胚芽を落として精白米が作られます。
精白米の表面にはまだ肌ぬかが残っているため、炊く前に水でといで、ぬかを落とす必要があります。無洗米はこの肌ぬかをあらかじめ落としてあるため、とぐ工程をカットできるのです。
無洗米にも精白米と同じように新米・古米の区別があり、その定義は精白米と違いはありません。
米粒で古米を見分ける方法は?
新米も古米も、一見したところ同じように見えます。しかしその状態をよく調べてみると、明らかな違いがあるのです。新米と古米は、どのようにすれば見分けられるのでしょうか。
炊く前に触ってみる
最も簡単なのは、米を触って確かめる方法です。米びつの中にある米の表面に、手のひらを置いてみましょう。手を持ち上げて手のひらに米がくっついていたら、それは新米です。
手にくっつくのは、新米に含まれる水分量が多いためです。表面が柔らかく、手に吸いつきやすくなっています。
一方の古米は水分が抜けていて、表面は乾いて硬くなっています。そのため米粒は手に残らず、パラパラとこぼれていくでしょう。酸化が進んだ古米は、白い粉を吹くケースもあります。
炊く前に割ってみる
新米と古米では、米粒をかんだときの状態も異なります。新米は水分が多いため、きれいに割れません。衝撃が加わったところから、ポロポロと崩れるように割れるのが特徴です。
乾燥の進んだ古米は弾力がない分、衝撃に弱く、かんでひびが入ったところから、パキっときれいに割れます。
強くとぐと米同士がこすれて割れてしまう可能性もあるため、古米は新米よりも優しくとぐように意識しましょう。
炊いた後のツヤ・香り・味を見る
何度も米を炊いてきたベテランだと、炊いた後の状態を見て、新米か古米かを見分けられるといいます。新米の方が粘りとコシがあり、米粒がふっくらツヤツヤと炊き上がります。
また、新米はアミノ酸・脂質・糖質といった栄養成分の鮮度が高いため、炊くとほのかに甘い香りがするでしょう。かんだときに、より甘みを感じるのも新米の方です。
ただ、古米はおいしくないいのかといえば、そんなことはありません。かつてと比べて保管方法が改善され、古米でもおいしく炊けるようになりました。よほど古い米でない限り、炊き上がりの状態で見分けるのは難しいでしょう。
新米・古米の保存方法とおいしく炊くコツ
ごはんをおいしく炊くには、保存や炊き方の知識が欠かせません。米の適切な保存方法と、米をベストな状態に炊き上げるコツを詳しく紹介します。
密閉保存がおすすめ
米は高温多湿を避け、密閉した状態で保存しましょう。ほかの食品では、袋の口を開けなければ鮮度を保てるケースもありますが、米の場合は刻々と鮮度が落ちていきます。
販売されている米の袋には、通気口となる小さな穴が空いているからです。そのため、開封しなくても密閉されていることにはなりません。
米は周囲のにおいを吸収する性質があるため、米袋のままストックしておくと、においが移ってしまう可能性があります。また虫が入り込む可能性もあるため、購入してすぐに密閉容器に入れ替えて、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
炊き方のコツもチェック
新米も古米も、ぬかの溶けた水を吸わないよう、といだ最初の水はなるべく早く捨てましょう。かつては米をゴシゴシと洗っていましたが、近年では、精米された米にはそれほどぬかが残っていないため、3~4回水を替えてかきまぜるように優しくとげば十分です。
炊く前に水に浸し、夏場で30分以上、冬場は2時間程度置きます。特に古米は水分量が少ないため、浸水時間をしっかり確保しましょう。なお、2時間以上の浸水は、かえって風味を損なってしまいます。
古米をおいしく炊くコツは、炊く直前に氷を入れるという点です。沸騰するまでの時間が長くなることで、低温からじっくり炊き上げられます。また、お酒を米1合当たり大さじ1杯入れると、新米のようにふっくら炊き上がり、におい消しにも役立ちます。
構成/編集部