「のっぺらぼうクレカ」は面倒臭い!?
カード表面に番号が記載されていないのっぺらぼうクレカは、それ故に本末転倒な現象が起きているのではないかと筆者は邪推している。
いちいちアプリを開くのは面倒という理由で紙に番号を控えてしまう、或いはスクリーンショットを取ってしまうという現象だ。仮にクレカの番号とCVC、そして有効期限まで控えたメモを紛失してしまったら……と想定すると、これは洒落にならない出来事。
「だったら面倒臭がらずにアプリを開けばいいじゃないか」と言われそうだが、クレカの発行元が配信しているアプリもしくは会員サイトを開いて番号を確認しようと思ったら、その直前に本人認証を要求されることも。め、面倒だ……。
上述の「のっぺらぼうクレカの不便な点を多少でも補うもの」というのは、まさにここを指している。
「世界最大人口の国」での実証
この「CVCレス決済」をきっかけに、クレカが「カード」でなくなっていく可能性もある。
NFCセンサー搭載スマホを誰しもが所有するようになり、なおかつのっぺらぼうクレカの普及とCVCレス決済の安全性の認知が相成れば、クレカは物理カードである必要は殆どない。今現在においても、デビットカードの発行を申し込んだ利用者は「カードの有無」を選択できる。審査を必要とするクレカにも、その流れが波及するはずだ。
そして、CVCレス決済の安全性が誰の目にも明らかになれば、この記事自体もたちまちのうちに陳腐化していくだろう。此度の出来事を、単に「インドだけの出来事」と考えてはいけない。世界最大人口を抱えるこの国で新しい仕組みの合理性が実証されれば、その後の拡散は地球の公転速度よりも遥かに速い。
1年後の今頃の季節、我々はCVCレス決済を十二分に活用しているかもしれない。
【参考】
Mastercard Enables CVC-less Payments for Tokenized Cards in India-Mastercard
https://www.mastercard.com/news/ap/en-in/newsroom/press-releases/en-in/2023/august/mastercard-enables-cvc-less-payments-for-tokenized-cards-in-india/
取材・文/澤田真一