クレジットカードには「CVC」という3桁の認証番号がある。
オンライン取引の際はこのCVCはなくてはならないもので、しかもパスワードのようにブラウザへ自動保存されないのが普通だ。取引の度にいちいち入力しなければならない。
その上で、最近普及し出した「のっぺらぼうカード(各番号がカード表面に記載されていないもの)」のCVCを調べる場合は、わざわざスマホアプリかブラウザの会員サイトを開かなくてはならない。これは面倒だ!
しかし、そんなCVCが入力不要になるという。
「CVCレス決済」とは?
8月3日、クレカブランドのマスターカードがこんなプレスリリースを配信した。
インドで「トークン化カード」のCVCレス取引が始まった、という内容である。分かりやすい形で言い換えれば、CVCの代わりにワンタイムパスワードを利用しようというものだ。
詳しく調べてみると、カードそのものにCVCという機能がなくなるわけではないようだ。「CVCレス決済」とは、いささか誤解を生む表現である。
仕組みは以下の通り。まず、通販サイトAで買い物をする際に新しいクレカを使う場合はCVCを入力する。この「最初のCVC登録」さえやれば、通販サイトAでの2回目以降の買い物ではそれを入力する必要がなくなる。代わりに発行されるのはワンタイムパスワードだ。
買い物の度に財布やスマホアプリをガチャガチャ開かなくても買い物ができる。たしかにこれは便利だ。そして、インドではZomatoがこの方式を採用しているという。
Zomatoも既に実施
Zomatoとは、要は「食べログ」+「Uber Eats」÷2のようなオンラインサービスである。
レストラン検索や予約、決済、そしてオンラインデリバリーにも対応した飲食業界のビッグアプリだ。インド人の食生活を大きく変えたとも言われている。「Zomatoがなければインドでの生活自体が成り立たない」と言い切る日本人駐在員も。
Zomatoの掲載情報には絶大な信頼があり、それは定期的にスタッフが足を運んでいることに起因する。「掲載情報が古過ぎて現状が反映されていない」ということがないのだ。その仕組みはインド国内のみならず、国外20ヶ国以上に進出している。
インドはもはや発展途上国ではなく、様々な新興企業を抱える「IT大国」という認識でいたほうがより実情に近い。
そして中国を抜いて世界一になった14億の人口を支えるには、「経済活動のキャッシュレス化」は必要不可欠。QRコード決済に加えて、従来からあるクレカ決済の技術的進化も欠かせないのだ。
ワンタイムパスワードをフル活用!
次に、もしもこのCVCレス決済が日本に導入されたら我々の生活にどのような変化があるのかを考えてみよう。
通販サイトのクレカ情報保存フォームからCVC入力欄がなくなるのは当然だろうが、何よりもその都度CVCを入力するよりもセキュリティー性が向上するのではないか。「1回限り」のワンタイムパスワードを、スマホのSMSで受信して利用する。もしも筆者が高齢者向けスマホ講座の講師だったとしたら、LINEの使い方などよりもこの仕組みを真っ先に教えたいとすら考えている。
いずれにせよ、クレカの決済システムはオンライン取引で使いやすいものになっている。
そしてこれは、のっぺらぼうクレカの不便な点を多少でも補うものではないか。