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「with生成AI時代」の中でいかに知的生産の技術を鍛えるべきか?

2023.09.10PR

「コロナ禍によるインパクトや、生成AIの登場などで、私たちの社会生活は大きく変わろうとしています。こうしたなかで、私は、もともと人類史に興味があったことを再認識したんです。人類は圧倒的な情報量に直面したとき、意識が変わり、脳が変わり、行動が変わり、文明社会を変えて歩んで来た。また、孫正義という情報革命の旗手をボスに持ち、一緒に考え、資料を作り、行動してきた。そして、生成AIという、いよいよ最後の魔物、魔神のようなものが出てきた。このタイミングで、人類史的な視座で、生命科学的な視点も持ちながら21世紀の知的生産の技術をまとめてみたい。そんな思いで作った本です」(『ブレイン・ワークアウト』(KADOKAWA)の著者・安川新一郎氏)

安川氏は、この本を一言で説明するとき、「生成AI時代の知的生産の技術を鍛えるための本」と説明することもあるという。

安川新一郎氏。グレートジャーニー合同会社代表、東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員 。1991年、一橋大学経済学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社、東京支社・シカゴ支社に勤務。99年、ソフトバンク株式会社に社長室長として入社、執行役員本部長等を歴任。2016年、グレートジャーニー合同会社を創業。東京都顧問、大阪府・市特別参与、内閣官房政府CIO補佐官、公益財団法人Well-being for Planet Earth共同創業者兼特別参与などの取り組みを通じて、行政の現場や公益財団活動からの社会変革も模索している。

大学卒業後に就職したマッキンゼーでは、顧客とインターネットの未来を描くプロジェクトに参画。いまでいうウェアラブル機器やIoTなどの世界について議論する。その後、ソフトバンクに転職し、孫正義という稀代の経営者のもとでブロードバンド・インターネットの普及や、スマホ革命の最前線に身を置く。現在は政府・自治体への政策提言やスタートアップ支援などをする傍ら、一人の表現者として社会変革などをテーマにした記事をブログなどに投稿している。『ブレイン・ワークアウト』は、これまで断片的に綴ってきた生成AI時代の知的生産の技術に関する文章の体系化を試み、その実践として「6つのブレインモード」を自身の経験なども交えてまとめたものだ。

情報環境の変化に応じて、脳をアップグレードする、という思考実験

人類の身体ハードウェアは狩猟採集民族の頃から4万年変わりませんが、周辺の外部情報が爆発的に増える度に、脳はそのソフトウェアをアップデートし、新たな脳のモード(ブレインモード)を確立させてきました。それらのモードを正しく理解し、そして鍛えることで、AI(人工知能)やロボットと共存する時代に備え、未来をたくましく楽しく生きよう--これがこの本で伝えたいメッセージです(『ブレイン・ワークアウト』3ページ)

安川氏は、身体や脳をハードウェアとソフトウェアの比喩で捉え、AI時代という外部環境の変化に合わせてソフトウェアアップグレードさせようという大胆な思考実験を試みている。その脳のモードを、運動、睡眠、瞑想、対話、読書、デジタルという6つのブレインモードに設定し、それぞれに計20のメニューを用意している。

↑脳の6つモード=ブレインモードを、運動を起点に睡眠→瞑想→対話→読書→デジタル、再び運動→睡眠…というサイクルで鍛える。なぜ、こういう順番か? それは、動物誕生→原始時代→古代→中世・近世→近代という時間の経過に伴い、認知革命→精神革命→印刷革命→情報革命が起こり、それに対応する脳のモード(ブレイン・モード)が①運動→②睡眠→③瞑想&④対話→⑤読書→⑥デジタルと変化してきた、と安川氏が捉えているため。

このアプローチのユニークなところは、脳のソフトウェアアップグレードとはいうもののハードウェアつまり心身についても扱っているところ。要は、体が整わなければ、脳は良い状態にならないという、逆説から語り始めている。たとえば、風邪で熱が出て、起き上がれなければ知的生産どころか、本を読んだり、スマホ画面を見ることさえ億劫になる。私たちの活動は心身が前提であることは当たり前なのだ。しかし、世に溢れる知的生産の技術の指南は、心身の両方を真正面から扱ったものは決して多くない。安川氏は、この身体性を、人間知性(Human Intelligence)と人工知能(Arttificial Intelligence)の最大の違いと捉える。

私達のホメオスタシス維持の生命活動と、そのための身体機能が、情動、感情、心を生み、意識、思考、そして行動に繋がるということが、最初に理解すべき重要なポイントです。(中略)意識や知能/知性が、身体の生命活動から来るという点が、私達のHIとAIの最大の違いだからです。(同書、39ページ)

振り返っていただくと、世の中に溢れている知的生産の指南は、健康で悩みのない人を前提にしていることが大半だろう。「人間とAIの最大の違いは身体性」「AI時代の知的生産の技術だからこそ、身体についても目配せが必要」。この2つは、本書の通奏低音で、これを意識しながら目を通していくと、いろいろな発見があるのではないだろうか。

そして、この本は、次のような方法で作られたことを安川氏は明かす。以下は、デジタルモードのメニュー17である<情報の一元管理+発酵で、「自分だけの知の生態系(ビオトープ)」を構築>の箇所からの引用だ。

手前味噌ですが、人体史、人類史から人間の知的生産に関する長年の個人的な興味を集大成として1冊にまとめたのがこの本です。最初に本の企画があった訳でもなく、ひたすら読んだ内容や自分の考えを自分の勉強のためにメモにして整理し続けた結果、様々な学問分野を横断する内容になりました。(同書、240ページ)

この手の書籍は、どこか上から目線なところがあるものだが、<長年の個人的な興味を集大成として1冊にまとめた>と、率直に執筆の経緯を明かしている。安川氏が個人的に収集した知見をまとめたので、皆さん、ご意見ください、といった感じが伝わってくるのだ。少し整理をすると、「生成AIというボスキャラが出てきちゃったので、一緒に知的生産の技術を、対話的に考えてみませんか?」というメッセージのように感じる。そして、この内容は、今後もブラッシュアップしていくようだ。

当初は個人的な興味と実践が目的で、独学で知見を集めたので、偏っている部分があるかもしれません。できるだけ参考文献を引用しましたが、不十分だったり、事実誤認も残っているかもしれません。また、研究内容においては確立していない学説もあるため研究者の方によっては指摘したくなるような仮説の1つを取り上げていたり、多くの研究や事例から私個人の仮説にすぎない独自の意味合いを大胆に導き出している部分もあります。今回書籍という形でまとめましたが、私自身生涯かけてこれからも継続的に探究したいテーマなので、ご意見や批判は是非頂きながらライフワークとして改善していきたいと思っています。>(同書、11ページ)

つまり、ここで提示した6つのブレインモード、それを鍛えるための20のメニューは、これが完成形なのではなく、ここからブラッシュアップされていくのだろう。

ただ、なぜ、こういうオープンなスタンスで、知的生産の技術について問うことができるのだろう。安川氏は、「先人の教えを請い、よく生きるため」と話す。

ChatGPTが身近になり、リベラルアーツ(一般教養)がもう一度考えられるときが来ていると思います。従来の衒学的なペタンティックな教養主義はあまり意味はなくて、教養の本質は、よく生きるために先人に教えを請うことです。よりよく生きることって人類共通のテーマです。だから、昔から存在していて、いまだに残っているものが教養なんだろうと思います」(安川氏)

↑「私の実践というのは担当編集者さんからいただいたアイデアで盛り込みました。本当は恥ずかしかったんですけれど」と話す安川新一郎氏

生成AIの登場で、ビジネスパースンを取り巻く環境は激変しつつある。変化が激しく、見通しが立たないときだからこそ、『ブレイン・ワークアウト』のような大きな見取り図を持ち、自分なりの実践方法を見つける必要があるのかもしれない。

『ブレイン・ワークアウト』 安川新一郎/著 KADOKAWA/刊

取材・文/橋本 保
hashimoto.tamotsu@gmail.com。1967年生まれ。フリーライター。

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