「条件付」特定外来生物とは
――「条件付」特定外来生物となった理由について教えてください。
岡田先生 「条件付特定外来生物」は、外来生物法に基づき特定外来生物に指定された生物のうち、通常の特定外来生物の規制の一部を、「当分の間、適用除外とする(規制の一部がかからない)」という意味で、「条件付」特定外来生物と言います。
「特定外来生物」は飼育が認められていませんが、「条件付」の場合は、個人の飼育は可能です(販売や領布はだめ)。
現時点で「条件付特定外来生物」に指定される生物は、アメリカザリガニとアカミミガメの2種だけです。これら2種以外の特定外来生物は、これまで通り、特定外来生物についての全ての規制がかかります。
「条件付」とした理由ですが、お子さんがザリガニ釣りで遊んだように、アカミミガメとアメリカザリガニは、飼育者がとても多い生き物です。小学校の授業でも題材に取り上げられた経緯があるぐらいなので、子どもにとっても身近な生き物です。
単に特定外来生物に指定してしまって飼育等を禁止すると、手続きが面倒などの理由で野外へ放す飼育者が増えると予想されます。そうなると、かえって生態系等への被害を生じるおそれが生じてしまいます。
そのため、一部の規制を適用除外とする「条件付」特定外来生物として指定することになったのです。
家庭でペットとして飼育するのはOK
――うちの子たちが田舎でアメリカザリガニをたくさん釣ってきて、今、家で飼っているのですが、これは法律違反ですか?
岡田先生 お子さんがザリガニを釣って、自宅で飼っていること自体は法律違反ではありません。
ポイントは2点で、釣りなどでキャッチ(捕まえる)しても、その場でリリース(放す)することは可能なのですが、一度飼うと決めたら、終生飼育をすることが必要になります。
一度家に持ち帰ったら、元居た場所に返すことはできません。
「特定外来生物」となったアカミミガメとアメリカザリガニを池や川などの野外に放したり、逃がしたりすることは、6月から法律で禁止されました。
違反すると罰則・罰金の対象となります。適切な飼育を行わずに、カメやザリガニが自力で逃げ出した場合も違法となることがあるので、注意が必要です。自宅で飼育する時は、逃げ出さないような容器で、適切に飼育してください。
自然界の生き物は「飼わない」決断も
――わが家のペットのアメリカザリガニの寿命はどれぐらいでしょうか?
岡田先生 環境省のサイトなどではアメリカザリガニの寿命は4~5年と書かれています。飼育下では5年程度と考えて良いでしょう。海外の研究例では、野外では死亡率が高く平均寿命としては12カ月に満たない上、自然界では多くの個体は3年程度、大型個体は4~5年は生存しますが、逆に12年近く生きた事例も報告されています。
ザリガニを釣るのは楽しいですが、飼育することを考えると、自然界の生き物を飼うには責任と覚悟が必要だということを考慮して、家に連れて帰って下さい。
岡田先生 飼育下のアカミミガメの寿命は20~30年と、たいへん長生きをする生き物です。40年以上も生きる個体もいます。寿命を迎えるまで、本当に責任をもって飼い続けることができるのか、迷いや心配があれば、飼わないことを決断することも大切です。
アカミミガメは子亀時代をミドリガメと呼びます。子どもの手のひらに乗るほど小さいですが、成長すると甲羅の部分だけで20~30cm程度にまで大きくなり、大型の水槽や飼育スペースが必要になります。繰り返しになりますが、飼えなくなったからといって、野外に放すことは絶対にできません。