川越まつり<埼玉県川越市>
蔵造りの街並みが人気の観光地「小江戸川越」で毎年秋に行われるのが「川越まつり」だ。「川越氷川祭の山車行事」として国指定重要無形民俗文化財やユネスコ無形文化遺産にも登録されている。
長い歴史のなか「天下祭(※)」の様式を色濃く受け継ぎ、川越独自の色を加え発展した貴重な「都市型祭礼」としても名高い。笛や大太鼓などのお囃子に合わせて伝統衣装に身を包んだ舞い手が踊り、絢爛豪華に装飾された山車が蔵造りの町を曳き回される風景は他では見られない。
※江戸(東京)で行われる代表的な祭礼。
まるで江戸の街にタイムスリップしたかのようなノスタルジックさを感じさせる秋祭りだ。
【起源】
1648年、総鎮守である川越氷川神社の祭礼を当時の川越藩主が奨励したことがはじまりとされる。川越氷川神社の「例大祭」を根源として、「神幸祭」や「山車行事」から成り立っている。
【見どころ】
山車同士がすれ違ったり交差点で数台の山車が出会う際、川越まつり最大の見どころといわれる「曳っかわせ(ひっかわせ)」がはじまる。山車の上部を回転させ、向かい合わせにした状態でお囃子と踊りを競い合うのだ。現代は勝敗を決めることはなくなったというが、急テンポのリズム展開と威勢の良い掛け声が飛び交う様は見事。
【2023年の開催日程】
10月14日(土)~15日(日)
【開催場所】
埼玉県川越市内中心街付近
(JR川越駅から中心街付近までは徒歩20分程度)
【交通規制】
有
【主催者様よりメッセージ】
370年以上の歴史を持ち、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の1つにも登録された川越を代表するまつりです。皆様のご来場を心よりお待ちしております。ぜひいらしてください。(川越まつり協賛会<川越市役所観光課>ご担当者様)
【参考】
Webサイト:川越まつり公式
Instagram:川越市公式/川越まつりナビ
X(Twitter):川越市公式/川越まつりナビ
唐津くんち<佐賀県唐津市>
「唐津くんち」は佐賀県唐津市内にある「唐津神社」の秋季例大祭だ。「くんち」は「供日(くにち)」が訛ったものといわれ、五穀豊穣の感謝を神に伝える意が込められている(※)。
※諸説あり。
唐津くんちでは、笛、鐘、太鼓が奏する三ッ囃子(みつばやし)や、「エンヤ、エンヤ」「ヨイサ、ヨイサ」という曳子(ひきこ)の掛け声に乗せて14台の荘厳華麗な「曳山(やま)」が旧城下町を巡行する。
獅子や兜、龍や鯛など異なる形をした14台の曳山は、世界最大級の乾漆造(かんしつづくり)の美術工芸品として佐賀県の重要有形民俗文化財にも指定されている。
「唐津くんちの曳山行事」は国の重要無形民俗文化財に指定されており、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録された。伝統ある秋祭りとして訪日外国人からの知名度も高く、期間中は国内外からおよそ50万人の観光客が訪れるという。
【起源】
1661~1673年頃、唐津神社創建の日を祝う祭りとして、神輿で御旅所(おたびしょ)へ渡御する「御神幸(ごしんこう)」が始まったのが唐津くんちの原型であると伝えられている。曳山は神輿を警護する目的で造られたという。
【見どころ】
職人の手で丁寧に仕上げられた個性ある曳山は、ぜひ14台とも全て目に収めてもらいたい。3日昼頃に行われる「曳き込み」と「曳き出し」も外せない。神輿のお供として西ノ浜の御旅所に向かうのだが、浜では砂に足(車輪)をとられて曳山がなかなか進まないため曳子たちの掛け声と会場の熱気がピークに達するのだ。
11月2日(木)~4日(土)
【開催場所】
佐賀県唐津市内の旧城下町一帯
(唐津神社まではJR唐津駅より徒歩10分程度)
【交通規制】
有(予定)
【参考】
Webサイト:一般社団法人 唐津観光協会/唐津神社公式
歴史と伝統を感じる日本の秋祭りに参加しよう
地域独自の伝統が感じられる秋祭り。コロナ禍による行動制限がなくなった2023年は、ぜひ日本各地の個性的な秋祭りを楽しんでみてはいかがだろうか。
※観覧の際は各自治体が発信している注意事項やマナーを守り、自身と周囲の人の安全に配慮してください。
※目の前を山車が通過したり、賑やかなお囃子が響くのは秋祭りの魅力ですが、特に小さなお子様連れの観覧は思わぬトラブルが起こる危険もあるため十分に注意しましょう。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.