コロナ禍による行動制限がほぼ緩和された今年の夏。ようやく大々的な開催が叶った祭りや花火大会がたくさんあった。それに続いて秋祭りの開催を発表している団体も多く、地域住民はもちろん国内外の旅行客から関心が高まっている。
そこで本記事では、2023年9月から11月頃に日本各地で行われる予定の伝統色が強い秋祭りをピックアップして紹介する。
2023年開催予定!伝統を感じさせる全国の名物秋祭り4選
秋祭りは、夏に行われる花火大会や春に行われる桜祭りなどと比べると郷土色が強いものが多い。
もともと稲作文化を持つ日本では古くから八百万の神への信仰があり、特に実りの季節である秋は豊作を感謝する収穫祭が大々的に行われることが多かった。そこから発展し、地域独自の色を加えながら発展したものが現在の「秋祭り」だといわれている。
日本各地で開催される秋祭りの多くは、パフォーマンスだけでなくその由緒や歴史を含め愛されている。故郷の秋祭りが年に一度の楽しみという町人は少なくなく、筆者の住んでいる地域などは「お盆に帰省できなくとも秋祭りには帰省する」という若者も珍しくないほどだ。
今回は、そんな伝統や歴史を感じさせる日本各地の名物秋祭りをまとめた。
角館祭りのやま行事<秋田県仙北市>
秋田県仙北市で開催される「角館祭りのやま行事」は、約400年の伝統を持つ秋祭りだ。国指定重要無形民俗文化財やユネスコ無形文化遺産に登録され、東北屈指の “喧嘩祭り” としても名高い。
「やま」とは、武者人形や歌舞伎人形を飾った大型の「曳山(ひきやま)」のことだ。笛や三味線などにより「おやま囃子(ばやし)」を奏する囃子方(はやしかた)や、艶やかな手踊りを披露する「秋田おばこ」らを乗せ、町の若い衆が担ぎ手となって町内を曳き廻す。
曳山は神明社・薬師堂への参拝や佐竹北家への上覧などを目的に進行するが、道中で他の曳山と鉢合わせすることがある。このとき進行の優先権をめぐって交渉員による「交渉」が行われ、交渉が成功すれば曳山は交差し、決裂すると曳山をぶつけ合って勝敗を決める「やまぶっつけ」がはじまるのだ。
【起源】
約400年前。角館神明社と成就院薬師堂の祭典に合わせ、豊作、無病息災、商売繁盛、地域の繁栄などを祈願し行われた。
【見どころ】
見どころとなる「やまぶっつけ」は、8日の夕刻から行われる「観光やまぶっつけ」と、9日の夜半過ぎから早朝にかけて行われる「本番」がある。もし泊まりで観光に行くのであれば、優先権をめぐる駆け引きが激しさを増す「本番」もぜひ味わってもらいたい。
【2023年の開催日程】
9月7日(木)~9日(土)
【開催場所】
秋田県仙北市角館町内
(町の中心部まではJR角館駅より徒歩10分程度)
【交通規制】
有
【主催者様よりメッセージ】
「角館が1年で最も熱気に包まれる3日間。待ちに待ったお祭りに、町内の若衆も気合十分です。勇壮な曳山と優雅な秋田おばこの手踊りをぜひご覧ください。」(仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」 ご担当者様)
【参考】
Webサイト:仙北市公式/田沢湖・角館観光協会
Instagram:仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」
X(Twitter):仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」
花巻まつり<岩手県花巻市>
岩手県花巻市で開催される「花巻まつり」は、430年を超える歴史を持つ秋祭りだ。“世界一の神輿パレード” と称され、神輿の数でギネス記録を樹立(※)したことで知られている。
※同一会場内で5分以上一斉に披露した神輿の数。花巻まつりは2015年9月12日にこれまでの世界記録を超える114基を達成した。
「花巻ばやし」を奏でる十数台の風流山車や、百基を超える神輿が町へ繰り出す様は圧巻。岩手県の無形民俗文化財に指定される「鹿踊(ししおどり)演舞」や、五穀豊穣などを願って獅子頭が舞う「神楽権現舞演舞」、優雅な「花巻ばやし踊り」などの伝統芸能も多数披露される。
【起源】
花巻開町の立役者である花巻郡代・北松斎の死後、その恩を忍んだ町民が松斎の命日に行った祭事がはじまりとされている。
【見どころ】
神輿・山車パレードは各日ごとに時間を変えて行われるが、幻想的なアセチレンガスの炎が浮かび上がる夜の風流山車パレードはぜひチェックしたい。かがり火のなかで行われる8日夜の「群舞かがり火鹿踊」や、約20団体200人が一斉に舞う9日昼の「鹿踊演舞」も見逃せない。
【2023年の開催日程】
9月8日(金)~10日(日曜)
【開催場所】
岩手県花巻市上町にあるお祭り広場、花巻市上町アーケード周辺、ほか
(JR花巻駅より徒歩15分程度)
【交通規制】
有(予定)
【主催者様よりメッセージ】
「今年の花巻まつりは4年ぶりに3日間の日程で開催し、美しい風流山車、世界記録を達成した神輿、古来より踊り継がれてきた鹿踊や神楽権現舞、優雅な花巻ばやし踊りなど、見どころ満載です。ぜひこの機会に花巻へお越しください。」(花巻まつり実行委員会事務局 ご担当者様)
【参考】
Webサイト:花巻市公式/一般社団法人 花巻観光協会
Instagram:花巻まつり実行委員会