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人材不足が深刻化するサービス業、離職を踏みとどまらせるだけの時給アップ額はいくら?

2023.09.07

離職理由を正直に伝えている人は42%にとどまる

Q3. 離職したとき、理由を正直に伝えましたか。

離職理由を正直に伝えているのは42%で半数に満たず、何も言わずに離職するケースも17%あるという結果になった(図1)。

勤続期間別にみると、1年以上働いていると離職理由を正直に伝える割合が若干高くなっているが、それでも46%だ。また、1ヶ月以内で離職する早期離職者は何も言わずに離職する割合が32%と他に比べて高くなっている(図2)。

Q4. 実際の離職理由に関わらず、もし時給が当時もらっていた金額より高かったら、離職しなかったと思いますか。

全体の6割は時給の水準によらず離職を選ぶが、残りの4割は条件によっては離職を踏みとどまった可能性があるという結果になった(図1)。

離職理由別に時給次第で離職を踏みとどまった可能性の割合を見ると、時給や交通費、希望通りのシフトに入れないなど、収入に関する理由の場合は割合が高くなっており、金銭面の条件次第で解消されるケースが高いことがわかる(図2-①)。

次いで、やりがいを感じられない、希望する仕事内容ではない場合も金銭面の条件次第で離職を踏みとどまる可能性が高くなっている。これらは、もちろん満たされていることが望ましいが、無くてもある程度妥協できる条件と考えられる(図2-②)。

一方、上司や同僚と気が合わなかった、理不尽な指導があった、職場の雰囲気が悪かったといった、店舗の人間関係、職場環境に関する設問は、金銭面の条件では離職を踏みとどまることが難しいようだ(図2-③)。

離職理由としては最も高い「仕事がきつかった」よりも踏みとどまる可能性が低くなっており、人間関係・職場環環境の観点で信頼が失われると取り返すのは難しいことが伺える。

離職を踏みとどまらせるだけの時給アップはいくら?

Q5. 離職したときの時給はいくらでしたか。

時給1,000円強までは人数が逓増していて1,050円以上になるとまばらな分布になっており、近年の最低賃金の引上げを反映している傾向が見られる。ただし、勤続年数の長いスタッフは最新の最低賃金改定が反映しきれていない可能性や、最低賃金を超える水準での時給アップが難しい状況であると考えられる。

Q6.(Q4で時給が大幅に/少しでも高ければ辞めなかったと答えた人へ)あといくらもらっていたら辞めなかったと思いますか? 時給で考えたときに不足していたと思われる金額をお答えください。

離職を踏みとどまらせるだけの時給アップの金額は、50円、100円、150円、200円といったきりの良い金額レンジで回答者数が多くなっている。200円アップまでで約50%に達しているが、520円以上のアップを望む声もあった(図1)。

金額の昇給率でみると、30%未満で全体の7割に達することがわかる(図2)。

離職理由別の昇給希望額

離職理由1位に選んだ理由別に時給アップの金額を見ていくと、「仕事がきつかった」を理由に挙げた回答者の平均希望昇給額は883円となり、離職を踏みとどまるのに必要な時給の昇給額が最も高いという結果になった(図3)。

「仕事がきつかった」は離職理由として最も多かったため、踏みとどまらせるのに必要な金額も考えると金銭条件で引き止めるのはかなりハードルが高いと言える。離職防止には、従業員に「仕事がきつい」と感じさせない工夫が必要だ。

<調査概要>
調査企画  :ClipLine株式会社
調査委託先 :マクロミル
調査対象 :全国の過去1年以内にサービス業(外食、小売、運輸、介護)で非正規社員として勤務し離職を経験した1,033名
 ・学生、主婦/主夫、フリーター、シニア(65歳以上)から均等に25%ずつ回収
 ・従事していた業種の割合は、外食(29%)、小売(29%)、運輸(24%)、介護(18%)
調査方法  :オンライン上でのアンケート調査
調査期間   :2023年7月28日~8月1日
主な調査内容:サービス業における離職理由と時給などについて

※それぞれ、数字の丸めにより合計が100%にならない場合がある。

出典元:ClipLine株式会社

構成/こじへい

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