いまや人気コンテンツとなったゲーム配信。競技性が高く国際イベントなどを開催するゲームは、国内でも数万人規模の視聴者が集まっている。そんななかゲーム配信で人気を集めているのが、基本プレー無料で5対5のチーム戦を行うオンラインFPS(ファースト・パーソン・シューティング)の『VALORANT(ヴァロラント)』だ。
家庭用ゲーム機やスマートフォンには対応していないパソコンのゲームながら日本国内でも多くのプレーヤーが遊んでいる。その魅力と大会などの状況を『VALORANT』の公式実況者として活躍する配信者のYueさんに聞いた。
Yueプロフィール
1995年10月3日生まれ。東京都出身。ASH WINDER CULTURE所属のeスポーツキャスター。2021年頃から『VALORANT』の日本公式キャスターとして「実況・解説」を担当。『VALORANT』ゲーム内全スキンをコンプリートするほどのゲーム愛に溢れる一面も持ち合わせている。動画配信サイト『Twitch』では、『VALORANT』関連の配信のほかに、定期的な雑談配信を通じて視聴者と積極的に交流して人気を集めている。
X(旧Twitter)
Twitch
『VALORANT』は有名配信者が人気をけん引
これまで国内でヒットするオンラインゲームは、家庭用ゲーム機やスマートフォンでプレーできる環境が重要な要素だった。その中でヒットしたきっかけは、コロナ禍でパソコンのオンライン環境を整えてゲーム配信を視聴する人が急増したことだった。
「サービス開始当時は、スペックが低いパソコンでもプレーできてゲームを導入するための敷居が低かったにも関わらず、非常に競技性が高くて大会やイベントが盛り上がるゲームでした。個人的にはコロナ禍で配信を見るようになった人が多くなって、配信で『VALORANT』を見て自分もプレーしてみたいという人がパソコンを購入してゲームを始めたのが入り口として大きかったと思っています。直接のブレークのきっかけは、2021年頃にほかのゲームの配信や大会で人気があった国内の有名配信者5名がチームを組んで、『VALORANT』の国際大会に参加したことが挙げられると思います。その時の活躍が配信で視聴者を交えて大きな盛り上がりになりました。それに続いて世界大会の『2022 VALORANT Championship Tour Stage 1-Masters Reykjavik-』で、日本人チームのZETA DIVISIONが3位入賞してテレビなどで取り上げられて大きなニュースになりました。この頃は、日本人が世界大会で1勝するだけで一喜一憂していた時代だったので、そこで3位になって普段ゲームをしない人も注目してゲーム配信を観戦するようになりました。配信者たちの手によってパソコンゲームの土台ができて、みんながゲーム配信を観られる環境になったのが大きかったと思います」
『VALORANT』とは?
ライオットゲームズが2020年6月にリリースした、銃とスキルを駆使して5対5で戦うオンラインシューティングゲーム。基本プレー無料で対応機種はWindows 10とWindows 11。プレーヤーは、それぞれのロール(役割)と独自のスキルエージェントと呼ばれるキャラクターを操作し、ランダムに選択されたマップでアタッカー(攻撃側)とディフェンダー(防御側)に分かれて戦う。マップ上に設置したスパイクを起爆させるか敵チームを全滅させると勝利になる。使用する武器やアビリティは購入フェーズで入手するので、何を購入するかも戦略的に重要な要素になっている。クローズドβテスト時には『Twitch』の最高同時視聴者数170万人を記録し、現在は世界各地で公式大会を開催するなど大人気eスポーツゲームになっている。なおプレーしている年齢層は幅広いが、メイン層は10代から20代。ほかのFPSゲームをプレーしている人が、視聴している推しの配信者がプレーしているから自分もやってみようと始める流れも多かったようだ。