普段会話で使っている言葉でも、漢字での表記がパッと思い浮かばない言葉がある。「纏わる」もその一つだ。
本記事では、纏わるの意味や読み方、使い方について解説する。使用シーンや類似表現も併せてチェックしてほしい。
「纏わる」とは
「纏わる」の読み方は「まつわる」もしくは「まとわる」。「〜にまつわる話」という言い回しは、日常会話でも頻繁に登場する表現だ。一方、「まとわる」は古典作品をはじめ古風な表現として利用されることが多く、「まつわる」の方が使用頻度は高い。
どちらの読み方をする場合も「関係している」という意味合いで使われることが多い。また、実体のある物や生物に使用する場合は「絡みつく」「つきまとう」などの意味で使用されることもある。
「纏わる」の使用シーンと例文
次に、「纏わる」を実際に使用する場合のシーンや例文を見ていこう。日常会話の中で使えるシーンを確認しておこう。
【例文】
「今日は世界の歴史に纏わる話をしよう」
「カッパに纏わる伝説は多くの地域で語り継がれている」
「洋服に糸くずが纏わる」
「ポチが息子に纏わる様子は互いの友情を感じさせる」
「よくわからない考えが頭に纏わる」
「纏わる」の類語と言い換え表現
ここでは、纏わるの類語と言い換えで使える表現を紹介する。シーンや雰囲気に応じて使い分けられるよう、それぞれの違いを覚えておこう。
関連する
「関連する」は、ある事柄の内容が結びついている、呼応している状態を表す言葉。日常会話でも頻繁に登場する言い回しで、纏わるの言い換えとしても利用しやすい表現だ。
【例文】
「映画と関連する書籍を読み、作品の理解を深めよう」
係る
「係る」は、「かかる」もしくは「かかわる」と読み、物事が関係することを表す言葉。「担当する」「受け持つ」といった意味合いで使われることもあり、「応募係」のように、担当する事柄を表す際にも使われる。日常使用では「関わる」という表現が使用される場合が多く、「係る」は法律文書や公的文書など、固い表現で多く用いられる。
【例文】
「本契約は双方の業務提供に係る内容を扱っている」
まとわりつく
「まとわりつく」は、物や動物がくっついて離れないことを意味する言葉。漢字で表すと「纏わりつく」で、同じく「纏」の字を含む「纏わる」と意味が近い。纏わるが実体を持たない言葉や概念に使われるのに対し、まとわりつくは実体を持つものに使われることが多い傾向にある。
【例文】
「首に髪がまとわりついて気持ちが悪い」
もつれる
「もつれる」は、物事がからまってほどけなくなる、動かなくなる状態を表す言葉。ひらがな表記で目にすることが多いが、漢字で表す際は「縺れる」となる。「足がもつれる」のように実体のあるものに使われることが多いが、「話し合いがもつれる」のように形のない事象に使われることもある。
【例文】
「緊張からかスタート直後に足がもつれて転んでしまった」
「纏」の漢字が含まれる熟語
最後に、「纏わる」と同じく「纏」という漢字が含まれている熟語を紹介する。意味を理解すると、纏わると似た意味を持つ熟語が多いことがわかるはずだ。
纏足
「纏足」は「てんそく」と読む。かつて中国で行われていた、女子の足を布で縛って足の成長を妨げる風習を指す言葉だ。布を足に強くまきつけるところに、「纏わる」と共通するイメージがうかがえる。
【例文】
「中国で長く続いた纏足の風習は清の時代に消滅したといわれる」
纏頭
「纏頭」は「てんとう」「てんどう」もしくは「はな」と読む。芸人などに対する褒美や祝儀を与えることを意味する言葉で、与えられた祝儀そのものを指す場合もある。祝儀として受け取った衣類を頭にまとったことから、「纏頭」と呼ばれるようになった。
【例文】
「美しい舞を踊った芸者に纏頭が用意された」
半纏
「半纏」は「はんてん」と読み、祭などで着用される半そでの羽織のことを指す。現在は祭のイメージが強い半纏だが、江戸時代には庶民の防寒着として使用されていた。腕の半分ほどまで纏う服であることから、半纏と呼ばれるようになったという。
【例文】
「祭の参加者はこの半纏を着用してください」
纏綿
「纏綿」は「てんめん」と読み、物体がまとわりつくことや感情が取り付いて離れない様子を意味する。古典作品や文学作品で使用されることが多い。文章を書く際に、固い表現をしたい場合などに使用するのがよいだろう。
【例文】
「古い空き家に植物が纏綿している」
文/編集部