「ボールペン」や「切手」のように普段使っている言葉が、実は正式名称ではなく略語であると知って驚く人は多いはず。前者は「ボールポイントペン」、後者は「切符手形」が正式な名前だ。
「ペペロンチーノ」も、そんな意外性のある略語の一つ。イタリアンレストランのメニューにも普通に載っているため気づきにくいが、正しい名前や由来を知っていると、料理通やイタリア通に一歩近づけるだろう。
本記事では、「ペペロンチーノ」の正式名称や語源、本場イタリアでの呼称などについて解説する。
「ペペロンチーノ」の正式名称は「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」
ペペロンチーノの正式名称は、「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ(伊:Pasta aglio, olio e peperoncino)」。イタリア語でaglio(アーリオ)は「にんにく」、olio(オーリオ)は「オイル」ここでは「オリーブオイル」を意味する。最後のpeperoncino(ペペロンチーノ)は「唐辛子」の意味で、直訳すると「にんにくとオリーブオイルと唐辛子のパスタ」となる。使用する食材の名前が語源となっている点が特徴だ。
イタリアでは「絶望のパスタ」と呼ばれることも
「ペペロンチーノ」は、イタリアでは「絶望のパスタ(伊:Pasta di disperato)」とも呼ばれる。パスタ・にんにく・オリーブオイル・唐辛子という最低限の材料で作れることから、絶望的な状況(お金がない等)でも食べられるパスタという意味で広まった。
また、「貧乏人のパスタ(伊:spaghetti del poverello)」の別称で呼ばれる場合もあるが、こちらは、目玉焼きとチーズを使った「ポヴェレッロ」というパスタの名前として使われることが多い。ペペロンチーノと同じくイタリアの家庭で食べられるパスタ料理の代表格だ。
本場では食べない?家庭料理として親しまれる「ペペロンチーノ」
「ペペロンチーノ」は、本場のイタリア料理店ではメニューに載せていないところも少なくない。最低限の材料で作れるペペロンチーノは、何も食べるものがないときに作る料理という認識が強く、わざわざお金を取ってレストランで提供するものではないという考えがあるからだ。
ただし、一口にイタリアと言っても地方ごとに料理の特色はさまざま。ペペロンチーノの発祥地でないエリアでは、日本と同様にレストランで提供する場合もあるようだ。
簡単にできる「ペペロンチーノ」のレシピ
イタリアの家庭料理として定着しているだけあって、少ない材料でさっと作れるペペロンチーノは、レシピを覚えておくと便利な料理の一つ。ここでは、ペペロンチーノの材料と作り方を解説する。
ペペロンチーノの材料(2人分)
まずはペペロンチーノの材料をチェックしよう。
・スパゲッティ(1.4~1.6mm)……160g
・にんにく……1~2片
・鷹の爪(赤唐辛子)……2本
・オリーブオイル……30ml(大さじ2程度)
・塩……26g(水1リットル対して1.3%の割当)
・水……2リットル
・黒こしょう……少々
・イタリアンパセリ……1~2枝
・【仕上げ用】エキストラヴァージンオリーブオイル……10ml(小さじ2程度)
ペペロンチーノの作り方
次に、ペペロンチーノの作り方を見ていこう。おいしく作るポイントは、パスタを茹でる際の水と塩の分量を守ること。茹で汁は最後のパスタとオリーブオイルをからめる工程で使うため、捨てずにとっておきたい。
1.にんにくを薄切りにスライスする(厚さ1mm程度)。
2.フライパンにオリーブオイル、にんにく、鷹の爪を入れて炒める。フライパンは温めずに材料を入れてから火をつけるようにする(にんにくを焦がさないため)。炒め終えたにんにくと唐辛子は、取り出してペーパータオルの上に広げ、フライパンのオイルは残しておく。
3.鍋に水を沸騰させ、塩を入れてよく溶かしたあと、パスタを茹でる(袋の表示時間より1分30秒程度短く)。茹でたあとの茹で汁は捨てずにとっておく。
4.イタリアンパセリを刻み、2.のフライパンに加えて弱火で温めたあと、仕上げ用のエキストラヴァージンオリーブオイルを加える
5.茹で上がったパスタを4.のフライパンに加え、オイルで絡めたあとで茹で汁(60ml)を加える。中火で温めたあと、2回目の茹で汁(同量)を加えてフライパンを揺らし、さらに混ぜ合わせる。
フライパンの中の汁気がなくなったら黒こしょうで味を整えて出来上がり。茹で汁を使うことでパスタに塩味が染み込むため、シンプルな味つけでも満足感のある一皿になる。
文/編集部