読めそうで読めない「茗荷」という熟語。 使われている漢字から「めいか」や「めいに」と読んでしまう人もいるのではないだろうか。 しかし、正しい読み方は別に存在する。
そこで本記事では、「茗荷」の正しい読み方や意味、由来などを解説する。 最後に紹介する英語表現も、ぜひこの機会にチェックしておこう。
「茗荷」とは
はじめに、「茗荷」の意味と読み方について見ていこう。「茗荷に関する言い伝え」についても、覚えておいて損はないはずだ。
意味と読み方
「茗荷」の読み方は「みょうが」。 ショウガ科の香味野菜で、独特の香りとほのかな苦味、シャキシャキとした食感が特徴だ。
茗荷は、青じそや生姜などと一緒に、ソバの薬味にしたり天ぷらにしたりして食べられることが多い。家庭でも栽培ができる身近な植物の一つだ。
茗荷に関する言い伝え
「茗荷を食べると物忘れをする」という言い伝えを見聞きしたことがある人も多いだろう。この言い伝えは、釈迦の弟子である「周利槃特」という人物に由来する。
周利槃特は、「自分の名前を覚えられない」という悩みを抱えていた。そこで、釈迦は名札(名荷)を用意し、首から下げさせるようにしたが、周利槃特はその名札のことさえも忘れてしまうのだった。 周利槃特の死後、墓に茗荷が生えたことから「茗荷を食べると物忘れをする」と言われるようになった。
もちろん、茗荷を食べることで物忘れするという言い伝えには科学的根拠はない。
「茗荷」という苗字もある
全国には「茗荷」という苗字の人が存在する。ここからは、茗荷の苗字の由来や家紋について見ていこう。
茗荷さんがいる地域
「茗荷」という苗字の人は全国におよそ400名のみ存在し、主な所在地は、鳥取県・静岡県・大阪府とされている。
この苗字の起源は、鳥取県八頭郡の茗荷谷。茗荷谷は、江戸時代からある古い地名だ。 また、鎌倉時代、馬込川(静岡県)の河口付近で遭難した皇族の宗良親王が静岡県浜松市に上陸した際に、茗荷を献上した住民が苗字を賜ったとも言われている。
茗荷の家紋
茗荷の家紋は、「茗荷紋」と呼ばれる。 杏葉紋(ぎょうようもん)と似ているが、茗荷紋には葉脈が描かれている。 茗荷紋には、抱き茗荷・三つ追い茗荷・稲垣茗荷・一つ蔓茗荷の丸などの種類があるが、一般的には「抱き茗荷紋」のことを指す。
「茗家紋」は、「茗荷」を「冥加(知らないうちに授かっている神仏からの加護や恩恵)」にかけて、めでたい家紋とされた。
なお、茗荷は摩多羅神(またらじん)と呼ばれる神のシンボルで、天台宗の僧や円仁(えんにん)の守り神とされて一部寺院で祀られている。
茗荷の英語表現
最後に、「茗荷」の英語表現について紹介しよう。「茗荷」を表す英語はいくつか存在するが、本記事ではそのうち2つを取り上げる。
Japanese ginger
食用の茗荷を栽培しているのは世界でも日本だけ。そのため、茗荷は“Japanese ginger”と表されるのが一般的だ。
【例文】
“This is a kind of spice herb called a Japanese ginger.”
(これは茗荷と呼ばれる植物の一つだ。)
“Meanwhile, mince old shoots of Japanese ginger.”
(その間に、茗荷の古い茎を細かく切る。)
“It is often eaten mixed with various foods such as leek, Japanese ginger, katsuobushi and grated daikon radish.”
(ネギや茗荷、鰹節、大根おろしなど、様々な食品を混ぜて食べることも多い。 )
“This is a garden for growing Japanese gingers.”
(これは茗荷を栽培するための庭だ。 )
Myoga
アルファベットで“Myoga”と表記する場合もある。ただし、相手が茗荷を知らない場合もあるため、その際は“Japanese ginger”と表現したり、特徴を英語で説明したりした方が親切だろう。
【例文】
“Myoga is a summer ingredient.”
(茗荷は夏が旬の食材だ。 )
“Myoga has been used as a Seasoning.”
(茗荷は薬味として使われる。 )
“Myoga was actively grown in areas around the station.”
(茗荷はその駅の周りで盛んに育てられた。 )
“Myoga contains large amounts of organic components.”
(茗荷には多くの食物繊維が含まれている。 )
文/編集部