ポイントの魅力、使い勝手も重要
房野氏:楽天のキャンペーンは、結構短期間ですね。「第一弾」となっているキャンペーンもあるので、またありそうですが。
石野氏:この一連のキャンペーンは、楽天ペイのポイントカード画面を開かせたいという狙いがあると思います。
房野氏:ポイントカードで1回、ペイの支払いで1回、2度のスキャンが必要ですね。
石川氏:説明会で「ポイントと支払いをまとめて1回のコードスキャンでできなかったのか」という質問が出ていたけれど、あえてポイントカードを開かせて、ポイントを貯めてますよっていう手続きを踏ませることによって、お得でしょと認識させる手法なんだろうなと思った。
石野氏:そうすると「ポイントカードと支払い画面が1つにまとまっている楽天ペイって便利だね」と思ってもらえる。楽天ポイントを貯めている人はたくさんいるので、楽天ポイントを軸にアプリを開かせて、より使ってもらう戦略なのかなというのはありますね。あと、Suicaにチャージもできるので、その辺はちゃんとやっている感じがする。今はau PAYもSuicaにチャージできますが。
法林氏:Suicaにチャージできるっていうことが、楽天とau PAYで世の中にどちらがよく知られているか。最近だと、au PAYアプリでチャージできることを知ってる人の方が多いんじゃないかな。それくらい楽天側のアピールが足りていないと思う。まぁ、Suicaにビューカードがまだ必要だと思っている人も世の中にたくさんいるだろうけど。
石野氏:楽天ペイはiOS上でもちゃんと使えるようになっていて、ちゃんとしてはいるんですけど、それが全然伝わってないというか……まぁ、頑張って! という感じ。
石川氏:楽天は商材が多すぎて、どこに注力したらいいのかが見えていないというか。
法林氏:整理できていない感はあるよね。au PAYも微妙だけど……au WALLETポイントがあったじゃないですか。それが、au PAYの大改変というか一番大きな変革をしてPontaポイントにとなった時は、「えー!?」と思ったけど、今から考えると納得できるじゃないですか。Pontaにしておいて良かった。
石川氏:あのタイミングは本当にギリギリでしたね。
法林氏:後で思ったよね。最初はえ? って思った。
石野氏:そうですか? 僕は最初からKDDI、頑張ったなって思いました。
石川氏:あのタイミングを逃したらアウトだったと思う。いいところと組んだ。
法林氏:そうそう。逆に言うと、Tポイントはソフトバンクと組んだけど、全部ソフトバンクに渡すとか、そういうことをしなかったので、結局、残っていた三井住友カードのVポイントになっちゃった、Tポイントの名前がなくなった、みたいな話。
石川氏:だったらソフトバンクと組んでいた方が良かったって気がしますね。
法林氏:各社、勢力争いが激しい。
房野氏:VポイントはiDとVisaのタッチ決済で使えますね。
石野氏:でも、なんかなぁ……
石川氏:結局、カードでしかない。
石野氏:そうなんですよ。
石川氏:スマホ対応面で弱い。
石野氏:どのショップに行ってもカード管理用のVpassアプリを設定してくれないわけですし、ユーザーが自主的にアプリをインストールしなきゃいけない。iDもVisaのタッチ決済も自分で設定しなきゃいけなくなっちゃいますし。かといって僕、自分のVポイントは自動的にマイルに変わっちゃっていますし。
石川氏:三井住友カードはプラスチックカードでカード番号がなくなることによって、結果、アプリを入れなきゃいけないけど、いつも起動するアプリじゃない。やっぱり携帯4社のペイは普段から起動するってところが大きい。それが良し悪しだったりもして、毎回起動するのが不便だからタッチの方がいいっていう場合もあるけど。
法林氏:ペイについては、お店とか使う場所が結構大事。キャリアは月々の請求しかり、支払いでそれぞれに払うシーンもある。なんだかんだ言いながら楽天Edyもそこそこ強くて、スーパーマーケットやデパートでも根強い。酷評され続けたイオンですら、iAEONっていう1個のアプリになった。いろんなイオンカードとWAONがあって、ぐちゃぐちゃだったのが1つにまとまった。あれも結局、お店で使うからっていう部分があるので、お店との結びつきは結構大きい。日常的に接点がある場所ってやっぱり強いと思う。お店のアプリもたくさん出てきていますから、Vポイント、Tポイントは頑張らないと、ですね。
……続く!
次回は、楽天モバイルの「ワンクリック申込」や「Rakuten最強プラン」について会議する予定です。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。
構成/中馬幹弘
文/房野麻子