2025年に年金制度改正が行われる予定
2025年に年金制度を改正する法案提出に向けて、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会年金部会で話し合いが行われている。部会で検討された内容が、5年毎に行われる年金財政検証結果が2024年に出るためその結果を踏まえて改正法案が作成される予定だ。
2023年に行われている社会保障審議会では特に社会保険適用拡大を議論されている。
ここ最近では主に20短時間以上の短時間労働者の社会保険適用を進めてきたが、今後は抜本的な改正も必要となってくる。
(案)
①社会保険適用拡大
・企業規模の廃止、個人事業所への適用
・フリーランスの社会保険適用
・自営業者だが本業以外に週労働20時間未満の短時間労働をしている人の厚生年金加入
・主婦(夫)等の週20時間未満で働く人の社会保険適用
・学生の社会保険加入(所得税と合わせて検討)
②国民年金の保険料納付期間を現在の59歳までを64歳までに
③厚生年金の加入可能年齢を70歳までを75歳までに
④遺族年金の見直し
現制度が専業主婦の妻が夫を亡くしたときの保障という意味合いが強く、男女差をできるだけなくし、子がいない場合は年金期間の有期化、もしくは廃止
現在社会保険が適用されるのは、現状会社の規模が従業員の人数100人超(2024年10月に50人超へ改正)、労働者が月額収入8.8万円以上、週20時間以上の場合である。
今後会社や個人事業主側の負担を軽減したうえで、規模に関わらず一定時間以上働いている人全てが社会保険に加入できるようにする。
20時間未満で働く人や学生にも社会保険に加入できないか検討されているが、導入には難しい課題が多い。
なお、第3号は会社員の夫に扶養されている妻が、社会保険料を免除される制度だ。最近では、パートを含めて結婚出産を経ても仕事をいている人の方が多く、昔の専業主婦が多かった時代にできた3号の制度は古いとされている。第3号は保険料が免除されるため、手取りが減らないよう第3号を維持するため規定の収入以下で働く人が多い。第3号はパート等で働くとき保険料の支払いで手取が減らないが、年金では国民年金の基礎年金部分しか受け取れないため、厚生年金に加入している人よりも受給額は少なく、老後1人になったとき男性より困窮することが多い。手取り額は減ってしまうがパートでも社会保険に加入すれば将来の年金受給額を増やすことができる。パート等の短時間労働者でも加入し人全てが社会保険に加入できる制度を整えたうえで、第3号の廃止が行われる可能性が高い。
今40歳の人は、年金財政検証の結果を経て改正が進み、年金制度自体がなくなることはないだろう。それでも、年金の受給額は今の受給世代より減る可能性が高く、老後に年金収入のみで生活するのであれば、厚生年金に加入できるのであれば加入して国民年金より手厚い年金額にし、またiDeCoやDCに自己拠出することで老後の年金を自分自身で手厚くすることが必要だ。
(参考)
第4回社会保障審議会年金部会 議事録|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
厚生労働省 2019年財政検証結果レポート
mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093204_00002.html
令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
2023年度の運用状況|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)
文/大堀貴子