インボイス制度では課税事業者になるべき?
インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」と呼ばれ、インボイス(適格請求書)という一定の要件を満たす請求書のやりとりの中で、インボイスを受け取った者のみ、消費税の仕入税額控除ができるようになる制度だ。
取引先が仕入税額控除を希望している場合、請求書を出す側も適格請求書を発行するために適格請求書発行事業者に登録する必要が出てくる。登録すれば、消費税の申告・納税が必要になるため、これまで消費税の免税制度(2期前の課税売上高が1,000万円以下など)により、これらの義務がなかったフリーランスなどは、適格請求発行事象者の登録を機に消費税の義務を負うことになる。このことから、インボイス制度をきっかけに課税事業者になるべきか迷っているフリーランスは多いといわれる。フリーランスは今後、どのように舵を切ればいいか。
「将来、個人がどのように事業を進めて行きたいかによって変わってくると思います。適格請求書発行事業者に登録し、消費税の課税事業者になることと、登録せずに、免税事業者のままでいることには、それぞれメリットとデメリットがあります。消費税の申告と納税を自分で行うのを非常に面倒に感じる方には、少々、売上が減額になっても適格請求書発行事業者に登録しないで、今後もっと必要性を感じられたときに対応しましょう、といった感じでお答えすることもあります。今後、事情上の必要性や、今後、何をしたいか、どのような方向性で進めていきたいか、という点が判断の軸になると思います」
子育て中のフリーランスにおすすめの会計処理術
子育て中のフリーランスは、子育て・家事と仕事との両立で忙しい中、毎年の確定申告や決算処理などが加わるとより負担が大きくなる。会計処理はどのように行うと良いか。久保氏は次のようにアドバイスする。
●経営分析のために収集・記録しよう
「経理とは経営管理のことです。つまり、お金・会計・税金を管理することです。ただ単にお金を処理するだけが経理ではなく、事業の守りを固め、攻めに活かすことが経理だと考えています。
経理のステップとしては3つ。1つ目が『収集する』こと、2つ目が『記録する』こと、3つ目が『経営分析』すること。3つ目の経営分析が要です。領収書や請求書を収集したり、領収書を綺麗に並べて保存したりすることよりも、経営分析に重きを置くことがポイントです。収集、記録に関しては、効率化できるところは時間をかけずに圧縮することが大切です。
よくあるのが一つの領収書に対して、『勘定科目は何?』『経費になるの?』などの判断に時間をかけてしまうこと。このようなことにはできるだけ時間をかけないようにしましょう。また一気にやろうと思わずに、日々、コツコツと収集・記録しておくと直前になってあわてないで済み、手間も省けますよ」
●会計処理は自動化・効率化が鉄則
「会計処理に関しては、会計ソフトを使って効率化することをおすすめします。会計ソフトの中には、ネットバンクやクレジットカード、電子マネーなどと紐づけて支払いや入金が自動的に行われるものが多数あります。これらを使って、会計処理を自動化しましょう」