多くの人が誤解している通勤手当に課税報道の真実
SNSで話題になっているのが、通勤手当に課税するのではないかという話だ。
前述の通り、通勤手当は基本的に15万円までは非課税だが、その部分に課税されるという話やサラリーマン増税という話が出ているがそれは間違いだ。これは、次の話が元になっているようだ。
政府税制調査会で話し合われた給与所得控除を減らすという話が、サラリーマン増税だと話題になっている。税府税制調査会とは、比較的長い目線で税金に関する指針を示すものである。そのため、その内容が即税制に反映されるとはいえないが、将来の税制がどうなるのか大まかに示されるためその内容は注目される。
政府税制調査会で話題になった給与所得控除とは、会社員やパートなど会社から給与を支給される人に適用される控除額だ。給与所得控除は、所得を計算する際に、所得を出す前に一定金額を控除できる。
例えば、給与収入が1,000万円なら誰でも195万円をここから引いて給与所得は805万円
これ給与所得控除を減らして基礎控除を増やすというものだ。
一方で、自営業やフリーランスは、会社員のような一定金額を自動で控除できる仕組みはなく、実際にかかった費用のみを収入から控除でき、その計算も複雑で、自分で計算するには限界があり、計算に計算ソフト費用や税理士への報酬等さらなる負担が必要だ。
会社員が一律の金額で収入から給与所得控除で控除できるのに対して、フリーランス等は自分で計算し実際に使った費用のみを控除するため会社員の給与所得控除額に比べて金額が小さくなる場合もあり、不公平感がある。
そこで、政府税制調査会では、最近のフリーランスの増加を背景に、フリーランスと会社員との不公平感をなくするため、会社員もフリーランス等収入の種類に関わらず1人ひとり、税率をかける前に控除される基礎控除額を大きくする案が出ているのである(所得が高いと基礎控除額は段階的にゼロとなる)。その代わり、会社員の給与所得控除額を減らすというものである。会社員は、給与所得控除額の減額分と同じ金額基礎控除が上がるのであれば、給与所得控除額を減らされても変わらないということになる。
税制調査会によれば、給与所得にのみ控除される給与所得控除より、どの所得の種類でも適用される基礎控除等で控除するのが望ましいとしている。
退職金はかねてから、勤続年数が長いほど優遇される税制であり、最近ではそのように最初に就職した先で定年を迎えるという人も少なくなり、転職をしている人と同じ会社で定年を迎えた人との退職金の非課税金額に大きな違いがあることは不公平感があることから、非課税枠については変更される可能性は大きい。
■政府税制調査会のあらまし
・通勤手当が現行非課税であること→説明のみで課税するべきとは言っていない。
・給与所得控除額の減額→控除額は減額される可能性はあるが、会社員以外も適用される基礎控除等の増額で控除額を変わらないようにすると考えられる。
・退職金の非課税枠→勤続年数が長い人が大きく優遇されている現制度は検討されるべきで、勤続年数に関わらない非課税制度へ