ゲオホールディングスは、関西大学の宮本勝浩名誉教授の協力の下、2022年の現在使われず自宅に保管されている携帯電話(=埋蔵携帯)(※1)の価値を試算。その結果、総額6兆5241億3285万円(※2)であったことを発表した。
リユース品への需要拡大と共にリユース通信端末市場も伸長傾向
昨今、物価高による節約志向の上昇によりリユース品への需要が増加していると言われている。携帯電話を取り巻く環境として、通信機器端末の価格高騰の影響を受けるスマホやタブレット端末でも、新品ではなくリユース品を求める人が多くなっているという。
円安・物価高による節約志向に加え、スマホの買い替え周期の長期化などからリユーススマホ市場は活性化しており、今後も市場拡大が見込まれている。
同社でも、「足元の円安傾向や新品のスマホ・タブレット端末の価格上昇トレンド、コロナ禍が落ち着き顧客の購買行動が活性化されたこと、インバウンド需要の復活などを受け、リユーススマホの販売台数・売上は伸長しています」と説明している。
2022年度の埋蔵携帯推定価値額は6兆5241億3285万円
また同社では、2015年より関西大学の宮本勝浩名誉教授協力の下、家庭の机の引き出しなどに保管されて使われず眠っている携帯電話(=埋蔵携帯)(※1)の価値額を推計してきた。今回新たに2022年度の分析を行ったところ、総額6兆5241億3285万円となったという。
2015年:1兆6489億172万円 (台数:約2億1,705万台)
2017年:1兆7013億7156万円 (台数:約2億3004万台)
2019年:2兆1239億7643万円 (台数:約2億1286万台)
2020年:2兆9931億258万円 (台数:約2億6480万台)
2022年:6兆5241億3285万円 (台数:約3億555万台)
※2015〜2020年の算出方式は、中古携帯電話の買取店や販売店が、中古携帯電話を下取りする時の値段「下取り価格」を基にして、中古市場の市場規模を計算していましたが、2022年は正確に中古市場の価値額、市場規模を推計するために「中古市場での販売価格」を基準にして計算されている。そのため、価値額、市場規模について前回までの調査とは算出手法が変更されている。
埋蔵携帯の総額が増加している要因について、宮本勝浩名誉教授は下記のように考察している。
・一人当たりの埋蔵される携帯電話の台数が増加し、埋蔵携帯電話の総数も増加した
・高価格の携帯電話が次々と市場で販売されるため、中古市場の携帯電話の価格が年々上昇している
・金、銀、銅、パラジウムなどの市場価格が年々上昇しているため、中古携帯電話の買取・販売価格も上昇している
・埋蔵される携帯電話の数が増加すると同時に従来型携帯電話(ガラケー)の⽐率が減少し、価格の⾼いスマートフォンの⽐率が増加している
埋蔵携帯を金メダルに換算すると150万個分に
埋蔵されている携帯電話は、中古市場でもニーズがあることに加え、非鉄金属であるレアメタルの利用源としての価値もあることから、国内経済におけるリサイクルの進展が期待される。
「金」を例に挙げると、埋蔵携帯の中に含まれている金は携帯電話1台当たり0.0295g。埋蔵携帯の台数は約3億555万台なので、埋蔵携帯電話全体に含まれる金は約901万gに達する。
ちなみにオリンピックの金メダル1個につき金が6g必要であるため、150万2288個の金メダルを製作できる計算になる。
気軽な査定が可能になる『スマホ査定アプリ』を開始
こうした試算結果から、埋蔵携帯をそのまま廃棄するのではなく、新たに市場に流通・循環させることは、非常に重要となる。
そこで同社では、リユーススマホ買取の新サービスとして、買取査定アプリ『スマホ査定アプリ』を2023年7月にリリース。同アプリは、データ消去とモバイルライフサイクルソリューションの業界標準を提供するBlancco社と共同開発した無料の買取査定アプリ。顧客が買取を希望するスマホにインストールして操作することで、スマホの買取金額がわかるという。
※1:スマートフォンと、スマートフォン以外の従来型の携帯電話(いわゆる「ガラケー」)などを指します。
※2:一人当たりが保有する携帯電話の台数から、買い替えられた携帯電話の台数を計算。それから現在の一人当たり平均の埋蔵携帯台数を求め現在携帯電話を保有している人数を掛けて「埋蔵携帯の台数」の総数を試算。「埋蔵携帯の台数」に中古携帯市場の平均市場(販売)価格を掛けて算出しています。
関連情報
https://geo-mobile.jp/information/archives/2023/20230724geomobile_apprelease.html
構成/清水眞希