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キーワードは「平屋回帰」「コンパクト平屋」2022年に着工された新築一戸建ての7軒に1軒が平屋

2023.08.24

2023年のトレンドワード「平屋回帰」「コンパクト平屋」とは何か

画像はイメージです

リクルートが運営するニュースサイト『SUUMOジャーナル』は、住まいや暮らしに関するさまざまなテーマの記事を発信している。

そんなSUUMOから、2023年のトレンドワードとして「平屋回帰」、「コンパクト平屋」という言葉が発表された。

その背景には、最近の平屋のニーズの大きな変化があるという。

現在ブームになっている平屋は、建物面積で15坪(約50平方m)から25坪(約83平方m)前後、間取りは1LDK~2 LDK位のコンパクトなもの。

適度な大きさで動線が効率化されていること、価格の手頃さから、子どもが独立して2階部分を持て余しているシニア夫婦、一人暮らしや一人親世帯など、さまざまな世帯で平屋が選ばれており、2022年に着工された新築の一戸建て住宅(※注)のうち、約7件に1件は平屋になっているのだ。

そんな人気の平屋だが、比較的地価の高い都会に暮らす人には、平屋が建てられるような条件はなかなかなく、その人気は実感しにくい。

ところが、全都道府県の新築一戸建て(※注) の平屋率を調査してみると、都会暮らしの人には想像もできないような意外な事実があったという。今回、都道府県別であまりにも違う平屋事情に関するリポートが到着したので、その概要を紹介して行きたい。

※ 本リリース内の「一戸建て」と「平屋率」の定義=国土交通省が発表している建築着工統計調査より、 居住専用住宅の建築物の地上階数1階〜3階の総棟数のうち、地上階数1階の棟数の割合を集計し「平屋率」としている 。構造は木造・鉄骨造など全構造の合計。3階建てまでの居住専用住宅には、アパートやマンションなどの集合住宅も含むため、すべてが一戸建てではないが、本記事では便宜上一戸建てとしている。1階建ての集合住宅は非常に出現率が低いため、実際の新築一戸建ての平屋率は本記事の試算より高くなると考えられる (本記事内共通)。

九州で高い平屋率。宮崎県、鹿児島県では新築一戸建ての半分以上が平屋

<都道府県別平屋率ランキング※(3階建てまでの新築住居専用住宅のうち1階建ての割合)>

出典:国土交通省『建築着工統計調査 / 建築物着工統計』

なんと、1位の宮崎県、2位の鹿児島県は2022年に着工された3階建て以下の新築住宅のうち、過半数以上が1階建て、つまり平屋となっている。

九州地方は福岡県を除くすべての県で平屋率3割を超え、上位10位以内にランクイン。続く平屋率が20%を超える20位までの上位グループには、香川県、愛媛県などの四国勢、群馬県、茨城県、栃木県の北関東勢が並ぶ。

全国最下位の東京は1.4%と、新築約71件に1件の割合。上位の地域はもともと平屋率が高かったことに加え、前述の世帯の少人数化や、家事動線の良さ、冷暖房がワンフロアで完結するため光熱費が低く済むこと、さまざまなメリットが認知され、この8年の間に平屋率は150%~250%ほど上がっている。

熊本地震をきっかけに揺れに強い平屋の関心が増加。地域独特の気候も影響

では、どうしてこんなに九州で平屋率が高いのか?

熊本県で注文住宅を中心に手掛ける工務店、グッドハート株式会社の営業・宮本紬麦氏に聞いた。

「同じ九州地方でも地価が高い福岡が上位に入っていないことからも、まず、土地が比較的安く手に入ることが大きいと思います。さらに九州は日常の移動はほとんどが車で平置き3台の駐車場を希望される方がとても多く、ご家族で3台乗るケース、ご家族2台に来客用、という方も多くいらっしゃいます。

それから、熊本では、2016年の熊本地震をきっかけに、平屋を希望される人がぐっと増えました。建物が自らの重みでつぶれている様子を目の当たりにして、2階の重みがなく、地震の揺れに強い平屋に、より注目が集まったのです。家が倒壊して建て替えが必要になった人だけでなく、初めてマイホームを持たれる方も、これから建てるなら地震に強い構造取りやすい平屋がいいと希望される方が多くなりました」

実際、熊本県で震災後に平屋を希望する人が増えたことは話題になっていたそうだ。一方、災害といっても、近年多い水害においては、高い建物に避難する必要があり平屋は不利。

ただ、いつ来るかわからない地震に比べ、水害は何日か前から予測でき、早めに避難をすれば命は守れることを考えると、まずは日常の生活のしやすさと、予測不能な有事を優先するというのは合理的だ。

また、宮崎県、鹿児島県を中心に注文住宅・分譲住宅を手掛ける万代ホームのハウジングアドバイザー西原礼奈さんは、以下のように話す。

「宮崎、鹿児島は、以前から建売住宅やモデルハウスも平屋で建てることが多く、2階建てにする場合でも総2階(※1)でなく、一部分だけや、中2階(※2)を取り入れる程度です。これには台風や桜島の噴火などの影響があると思います。

壁面は低いほど台風の強風に耐えられます。火山灰が降ってくる地域では、屋根に積もった灰の掃除なども雨どいを守るためには必要で、平屋は高い建物に比べ対処しやすいのです」

熊本大学 大学院で建築構造・防災建築を研究している友清衣利子教授は、「台風が多い九州は、耐風性の観点から、住宅の高さや屋根の勾配を低く設計する傾向にあります」とコメントしている。

「ほかにも九州では、屋根の対策のほかにも、雨戸やシャッターなどで窓やドアなどの開口部を守る建築上の工夫がされているのが一般的です。

さらに、2018年と2019年の台風被害をきっかけに、住宅の耐風性が着目されるようになったと実感しています。国土交通省が屋根の留め付けなどの対策を発表していますが、それらが世の中で反映され、変わっていくのはこれからだと思います」(友清教授)

※1.総2階/1階部分と2階部分がほぼ同じ面積となる建て方。直方体のような形になる
※2.中2階/階と階の中間に設けられる床部分のことで、スキップフロアともいう。平屋の場合の中2階は、2階がなくロフトのような形状となる。

関連情報
https://suumo.jp/journal/2023/08/22/197506/

構成/清水眞希

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