車関連の用語は、車に詳しくないと言葉と実物が一致しないものが少なくない。「ハッチバック」もそんな車用語の一つだ。日常的に見かけたり使ったりしていても、ハッチバックと言われると何を指しているのか分からない、という人も多いだろう。
そこで本記事では、「ハッチバック」の言葉の意味と他の車との違いについて解説する。
「ハッチバック」は跳ね上げ式の背面ドアを持つ車のこと
ハッチバックとは、跳ね上げ式(または横開き式)のバックドアを持つ車の総称。独立した荷室(トランクルーム、ラゲッジルーム)を持たず、乗車空間と繋がっている点が特徴だ。
ハッチバックのメリット
ハッチバックは、乗車スペースと荷室が一体化しているため、車内空間を有効活用できる。小さな車でも積載量を大きくできるため、買い出しなどで日常的に多めの荷物を積む場合におすすめだ。車種によっては、後部座性を倒して(あるいは折りたんで)フラットにし、より多くの荷物を載せられるものもある。
ハッチバックのデメリット
一方、ハッチバックのデメリットは、荷室がある分、乗車スペースが狭くなる点。コンパクトタイプの車では、大人数が乗車することで積載量が制限される場合がある。また、タイヤと座席の距離が、セダンやSUVと比較すると近くなることから、振動や騒音が人体に伝わりやすいケースもある。
小型の車を指すことが多い「ハッチバック」
ハッチバックは、車内スペースを効率的に利用できることから、軽自動車、コンパクトカー、大きめのコンパクトカーなど、ボディサイズの小さい車に採用されるケースが多い。荷物の出し入れがしやすく、価格が手頃で、セダンと同程度の車高の低い車と理解しておくとイメージのずれが少ないだろう。
なお、大型の車や車高の高い車にもハッチバック(跳ね上げ式のバックドア)は採用されているが、これらについては、バックドアの形状よりも「ミニバン」「SUV」といったボディタイプで呼ばれるケースが多い。
ハッチバックと他の車の違いは?
ハッチバックの意味について理解したら、他の車との違いもあわせて知っておくと自動車に関する解像度が高められるはずだ。よく耳にする「セダン」や「SUV」「ステーションワゴン」などは、ハッチバックとどのように違うのかチェックしてみよう。
ハッチバックとセダンの違い
セダンは、車のボディタイプを表す言葉の一つ。車高が低く、「エンジンルーム」と「乗車空間」「荷室」の3つが独立しているため、「3ボックス」タイプとも呼ばれる。
乗車空間と荷室が繋がっているハッチバックは「2ボックス」タイプの車であり、セダンとは区別される。
ハッチバックとステーションワゴンの違い
ステーションワゴンは、セダンの荷室を拡張した「2ボックス」タイプの車。ハッチバックと同じく乗車空間と荷室が一体化しているため、両者の違いはわかりにくいが、一般的に排気量1,500ccまでをハッチバック、1,500cc以上をステーションワゴンと呼ぶ。排気量の差から、ハッチバックよりも価格が高い車種が多い。ミニバンやSUVと比較すると燃費が良い点が特徴だ。
コンパクトカーとハッチバックの違い
コンパクトカーは、軽自動車のようには明確な定義が存在しない。一般的には「排気量1,500cc以下」「軽自動車ではない」「5ナンバーの車(小型自動車)」をコンパクトカーと呼ぶケースが多い。
コンパクトカーにはハッチバックが採用されることが多いが、すべての車種ではない点に注意が必要だ。コンパクトカーの一部がハッチバック(跳ね上げ式のドアを持つ2ボックス車)であると覚えておくと良いだろう。
ハッチバックとSUVの違い
SUV(Sport Utility Vehicle:スポーツ・ユーティリティ・ビークル)は、車高が高く、タイヤの大きい、オフロード走行に向くボディタイプの車を指す。現在、最も人気がある車の一つで、雪道や砂利道などの悪路走行も可能な本格的なタイプから、他のボディタイプの特徴をかけあわせた街乗りタイプ(クロスオーバーSUV)まで様々な車種が販売されている。
SUVの中にも積載量を重視した2ボックスタイプの車種はあるものの、一般的なハッチバックのイメージ(低車高、排気量1,500cc以下)とは異なるため、同じ車内構造やバックドア構造であっても、SUVをハッチバックと呼ぶケースは少ないと言える。
※データは2023年8月下旬時点のもの。
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文/編集部