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教えてかなえ先生!自信不足の人への処方箋

2023.08.24

自信不足への処方箋

過酷な環境に晒されている現代のビジネスパーソンの悩みは深い。だが、日々直面する課題の中に、私たちの人生をより豊かにするためのヒントが詰まっているという。異色の経歴を持つVTuberの短期集中連載、今号より長期連載化!

自信不足への処方箋

新卒で働き始めて3か月目の女です。学生時代も就職した今も、自分に自信が持てません。一方、同期には自信家な人もいて、優秀な成績を上げている。そうしてまた、私は自信をなくします。

【結論】経験に比例して自信は積み上がるが、シミュレーションも可能!

「自信のある人とない人の差は経験以外にない」

 ガンガン挑戦しろ……みたいな根性論はあまり好きではないのですが、残念なことに自信をつけたいなら経験を積む以外に対処法はありません。普段の私の振る舞いが自信たっぷりに見えるようで、同業者からも「どうすれば自信をつけられるか」と相談されることがあるのですが、私はいつも「とりあえず挑戦してみよう!」とアドバイスを送っています。

 世の中には自信家な人もいれば、アナタのようになかなか自信が持てない人もいます。しかし、自信を持つことができないからといって卑下する必要はありません。環境への順応度には個人差もありますし、アナタが「自信を持てるほどの経験」が積めていないだけで、これから経験を積むことで自然と今抱えている不安は解消されるかもしれないのです。

 これで回答を終えてしまうと、誰でも言えそうな非常に抽象的なアドバイスに終わってしまいます。せっかくなので、今回は自信家のアナタの同期や友人とアナタの違いに着目して私なりのアドバイスを送ろうと思います。

なぜ同期で「自信家と自信のない人」に分かれるのか

 まず、大前提としてほとんどの人は相談者のアナタと同じく自信が持てない側だと思います。つまり、自信家はごく少数(虚勢を張っているだけの人を除くとさらに少なくなる)なのです。同じ年齢、同じ大学、ほとんど能力も変わらないのに、なぜか自信家な人と自信のない人に分かれてしまうという謎……皆さんも気になったことはあるでしょう。

 私は先ほど「自信をつけるには経験を積むしかない」と説明しました。大切なのは、ここでいう経験とは実際に見て聞いて触れて体験したことに基づくもの以外も含まれるということです。わかりやすく言えば、シミュレーションなど空想の体験でも経験は積むことが可能ということです。

 例えばクルマの運転でもシミュレーターで練習してから実際に運転するのと、全くハンドルも触れたことのない状況で運転するのとでは、運転に対する自信に差が生じるのはイメージしやすいと思います。人間とは不思議なもので、これまでの経験からある程度状況を想定して新しい物事に対処しています。初めての体験でも失敗を恐れずに自信を持って取り組める人がいる一方で、取り組みに自信を持つことができない人が生まれるのは、状況をイメージする力、すなわちシミュレーション能力の差によるものだといえそうです。

 自信のある人は、過去の経験から未来の状況を正確に想定して問題を解決する経験を積み重ねているため、自分のシミュレーション能力を信用しており、新しい環境や刺激にネガティブな感情を抱きにくい。他方で、自信をなかなか持てない人はシミュレーション能力が低い、もしくは過去に問題解決に失敗して自分のシミュレーション能力を信用しきれないために自信を持つことができないということなのかもしれません。

 この仮説が正しいのだとすれば、自信の有無にはシミュレーション能力だけでなく、自分のシミュレーションに対する信頼度も大切であるといえそうです。

 では、このシミュレーション能力はどうすれば身につけることができるのか。

 まどろっこしい説明は抜きにして、「シミュレーション能力」=「経験」×「適切な自己愛」だと私は考えています。自己愛とは、ざっくり言えばありのままの自分自身とその能力に対する信頼や誇りのことを言いますが、自己愛は強すぎても弱すぎても問題になります。

 ありのままの自分の長所短所を把握するには、客観視の能力も必要です。自己評価と周囲からの評価のズレが大きい場合には、いったん視野を広くとって周囲を観察してみましょう。

 日記を書く習慣をつけて行動や感情を文字に起こして整理するのも有効な方法です。過去の失敗を改めて分析して、次の成功や自信を取り戻すための糧にするのも良いかもしれません。1つ経験してしまえば、あとはその応用でだいたいの場面は乗り切れますから。

 よって、アナタの相談に対してアンサーするならば「正しく自分の能力を把握したうえで、シミュレーション能力を磨くために経験をたくさん積もう!」ということになりますね。

 ただ、最初に伝えたとおり、世の中自信を持って生きている人のほうが少ないと思います。どうしても人間は周囲と自分を比較して自身の能力を客観的に測ったりしようとしますが、比べるよりもまず比較する自分の能力を見つめ直すところから始めましょう!

「自信がつく経験」って結局何だろう?

 少し余談になりますが「自信がつく経験とは何か」を私の実体験から話そうと思います。

 今までの話を聞いていると、「シミュレーションどおりのミスのない完璧な経験」が一番自信がつくと思われそうですが、個人的には「修正がうまくいった経験」が良いと考えています。仕事でも対人関係でも、大小はあるものの必ずイレギュラーは発生してしまいます。それを修正して乗り越えるには、瞬時に現われる選択肢の中から正しい解答を素早く選択する能力が必要です。しかし、その能力には失敗の経験も必要になってきます。つまり、失敗なくして成功なしということ。失敗は若いうちにしておいたほうがいいです。やらないことで失敗を経験しないことのほうが実は長い人生において大きな失敗になることもあるのです。

 失敗の経験があるからこそ、正解ではなくとも〝間違いではない選択肢〟を選べるということもありますので、経験を積む際には成功経験に固執するのではなく、失敗した経験にも適度に目を向けるようにしておくと、ありのままの自分に対して適切な自信を持つことができるようになるでしょう。

 スモールステップで始めて、自分の成長を楽しみにしながらこれからも生きてみてください。

自信不足への処方箋経験とは必ずしも「実体験」とは限らない。時間は誰にも平等に与えられている。その中で自信を培っていくためには、成功経験だけではなく「失敗経験」も掘り下げてみよう。

犯罪学教室のかなえ先生犯罪学教室のかなえ先生
元少年院の先生で、犯罪心理学や教育犯罪学の知見からニュースなどを解説するVTuber。近著に『人生がクソゲーだと思ったら読む本』など。

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©夢乃とわ SDイラスト/紀羅わたり

※「教えてかなえ先生」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME9・10夏の合併号に掲載されたものです。

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