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【最新ビジネス図解】「藻」を石油に代わる産業に!ちとせグループを中心に国内企業が連携する「MATSURIプロジェクト」

2023.08.21

ちとせグループが、市場横断で国内のトップランナー企業と連携するMATSURIプロジェクト。2023年3月に、マレーシア サラワク州で建設を進めてきた世界最大規模の5haの藻類生産設備『CHITOSE Carbon Capture Central(以下、C4)』の稼働を開始した。世界の産業を変える可能性のあるイノベーションを、同プロジェクト情報PR責任者の並河利彦氏に聞いた。

石油に代わる新たな植物資源※2

ちとせグループは、ちとせ研究所を中核法人として日本と東南アジアで活動するバイオ企業郡。 微生物や藻類、細胞などの小さな生き物の育種・培養・解析技術を強みに、様々な事業を展開しており、その中の一つとして石油を代替できる「藻類産業」の構築を目指すMATSURIプロジェクトを運営する。

そもそも、藻類とはなにか?

私たちが日常でよく見ているのは、ワカメやコンブ、ノリなどの大型の藻類。それ以外にも、スーパーフードとして注目されるクロレラやスピルリナといった微細藻類があり、後者はバイオマス(植物由来の資源)として期待が大きい。

植物は、太陽光をエネルギーとし、CO2を取り込む光合成を行い、糖やデンプン、タンパク質、脂質などの物質を作り出す。なかでも微細藻類は、植物と比較して「光合成による物質生産効率が圧倒的に高い」「必要な水が少ない」「生産に必要な土地を選ばない」という、主に3つの点で優れているため、ジェット燃料をはじめ、化石資源の代替として期待されているのだ。

ちとせグループが扱うのも微細藻類で、燃料、食品、医薬品など、あらゆる分野での活用が期待されている。このほどマレーシアに建設した藻類生産設備(C4)は、国立機関であるNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受けたものだ。

藻類の生産は、光合成がカギだ。これまでは主に、屋外の池のような設備(※3)で藻類生産が行われてきた。しかし、この生産方式では、太陽光を行き渡らせるために設備の水深は浅く、大量生産には広い敷地が必要になる。意図しない微生物などの生き物の混入(コンタミネーション)が避けられない上に、蒸発による水の損失も大きいなど課題が多い。

そこで、ちとせグループが採用したのがフラットパネル型の藻類生産設備だ。縦置きすることで、太陽光を取り込む表面積が広がるので、敷地あたりの生産量はぐっと上がる。オープンポンドに比べて外部からの干渉が少ないため(※4)、藻類が育つ環境を整えやすく(※5)、水の蒸発も防ぎやすい。

C4は石炭火力発電所に隣接して建設されており、発電で生じる排気ガス中のCO2を活用して藻類を生産している。藻類は太陽光と成長に必要なCO2をたっぷり取り込んで、早く成長していくというわけだ。

クリーンな資源の創出と温室効果ガスの削減を、いちどに実現する驚きの生産システムは、現在、国際特許を申請中だ。今は発電所で排出されるCO2のごく一部しか利用できないが、将来的には火力発電などのカーボン・オフセットも視野に入れる。

日本の産業界を連携するビッグプロジェクト※6

このように、ダイナミックな取り組みを進めるちとせグループだが、彼らだけでは藻類産業を実現することはできない。そこで、各分野で日本を代表する企業や行政・多くの機関と連携する「MATSURI」プロジェクトを運営する。藻類を原料とした、燃料、プラスチック、化成素材、化粧品、食品、医薬品などの製品化に向けて、共同で開発を進めているのだ。

当面の課題は生産コストだが、大量生産の体制を構築することで最適化していく。他の候補地の活用も含め、マレーシア国内の敷地面積を2027年までに2000haへ拡大する見込み。生産設備面積を拡大することでコストを抑えて、商用利用可能な価格に近付ける見込みだ。

この規模のモデルができれば、藻類の活用は一気に広がっていくはず。藻から作られた服を着て、スマホを使い、藻で動く自動車や飛行機に乗る――そんな未来が近づいている。

藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」を運営するちとせグループ 世界最大規模の藻類生産設備の稼働を開始

※1 国の予算からなるNEDO事業の支援を受けた大規模設備
※2微細藻類を指す
※3外部からエネルギーと物質の交換がある「開放系」の生産方式
※4外界との物質の交換がまったくない「完全閉鎖系」ではない
※5光合成にとって重要なCO2を供給する過程で撹拌も同時に行えるためその点においても効率が良い
※6 MATURIプロジェクトを指す

取材・文/ソルバ!
人や企業の課題解決ストーリーを図解、インフォグラフィックで、わかりやすく伝えるプロジェクト。ビジネスの大小にかかわらず、仕事脳を刺激するビジネスアイデアをお届けします。 
https://solver-story.com/

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