ChatGPTをはじめとする生成AIは、仕事への取り組み方やコンテンツの制作方法に大きな影響を与えています。
生成AIが生み出す文章や画像などについては、著作権に関する検討を要します。具体的には、機会学習をしたオリジナルコンテンツの著作権の侵害に当たらないか、生成されたコンテンツは著作権によって保護されるのかなどが主要な論点です。
文化庁は2023年6月、生成AIと著作権の関係性に関する講演映像と講義資料を公表しました。
参考:令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」の講演映像及び講演資料を公開しました。|文化庁
本記事では文化庁資料の内容を踏まえて、生成AIと著作権に関する論点整理の状況を紹介します。
1. 生成AIと著作権に関する主要な論点の体系
大分類 |
段階 |
個別の論点 |
生成AIが生み出したコンテンツによる著作権侵害の成否 |
開発・学習段階 |
「享受」の目的の有無 |
生成・利用段階 |
類似性 |
|
依拠性 |
||
生成AIが生み出したコンテンツに係る著作権の成否 |
- |
創作意図 |
創作的寄与 |
上記の表は、生成AIと著作権に関する主要な論点を整理したものです。
大きく分けて、「生成AIが生み出したコンテンツによる著作権侵害の成否」と「生成AIが生み出したコンテンツに係る著作権の成否」の2つの論点があります。
前者は、生成AIが生み出したコンテンツが、他人の著作権を侵害するか否かという論点です。
この論点については、生成AIを開発してコンテンツデータを学習させる段階(=開発・学習段階)と、実際に生成AIを利用してコンテンツを生成する段階(=生成・利用段階)の2段階に分けて検討します。
開発・学習段階については「享受」の目的の有無を、生成・利用段階については「類似性」「依拠性」という2つの要件を検討する必要があります。
後者は、生成AIが生み出したコンテンツが、著作権によって保護されるか否かという論点です。この論点については、「創作意図」「創作的寄与」という2つの要件の検討を要します。