AIの活用は、ビジネスのあらゆる分野で広まっています。
法務の領域でも、AIを活用した契約審査の支援ツールが加速度的に普及しています。その一方で、AIによる契約審査については、従来から弁護士法で禁止されている「非弁行為」との関係性が指摘されていました。
2023年8月1日に法務省が公表したガイドラインでは、AIによる契約審査と弁護士法との関係性につき、論点整理が示されています。
本記事では、AI契約審査に関する法務省ガイドラインのポイントをまとめました。
1. AI契約審査に関する弁護士法上の問題点
AIによる契約審査については、弁護士法で禁止されている「非弁行為」に当たるのではないかとの問題が、従来から指摘されていました。
「非弁行為」とは、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関して法律事務を業として取り扱うことをいいます。
無資格者の不適切な事務によって依頼者が害される事態を防ぐため、弁護士法72条により非弁行為は禁止されています。
AIによる契約審査は、当事者間で法的効果を発生させる「契約」を取り扱うものですが、そのサービスは、弁護士または弁護士法人ではない事業者によって提供されるケースが大半です。
そのため、AI契約審査サービスの提供行為は、非弁行為に当たるかどうかが問題になり得ます。