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歯科矯正を半額料金で!テクノロジーを活用したマウスピース型歯科矯正サービス「DPEARL」開発秘話

2023.09.04

デジタル技術を駆使し、従来の歯科矯正の半額ほどの価格で利用できる手軽さで注目を集める、3Dデジタル歯科矯正サービス「DPEARL(以下、ディパール)」。

 今回は、ディパールを開発した株式会社フィルダクトのCEOで、東京医科歯科大学歯学部口腔デジタルプロセスの非常勤講師でもある、金子奏絵さんにサービス誕生の裏側についてお話を伺った。

 *本稿はインタビューから一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。 

歯科矯正を身近なものにしてより多くの人に届けたい

 一般的に、歯科矯正サービスの相場は80120万円ほど。一方、ディパールの相場は3060万円と、従来の2分の1程度とリーズナブルな価格で歯科矯正ができる。金子さんは同サービスの特徴について次のように話す。

 「ディパールは、3DプリンターやCADComputer Aided Design)などの技術を使用し、歯科矯正を提供する一連の工程を効率化したことで、より気軽に歯並びを改善することができるサービスです。日本では人口のおよそ半数以上が『歯並びの改善が必要』と言われているにもかかわらず、治療期間の長さや費用などの懸念から、多くの方が取り組めていないのが実情。こうした背景から弊社では、デジタル技術で効率化した独自のワークフローを構築し、より多くの方に身近に歯科矯正を届けるというコンセプトで、2020年にディパールのサービスを開始しました」(金子さん)。

デジタル技術を活用した歯科矯正

安価に利用できる歯科矯正サービスだが、歯科矯正を行う際に必要なフローは、従来と同じ手順で進められるという。

「当サービスを利用して歯科矯正をする場合でも、歯科医院で検査を行い、歯科医師にマウスピース矯正が適用可能かどうかを判断してもらうという基本的な流れは同じです。その後、歯科医師の診断をもとに歯型やレントゲンなど一人ひとりの口腔データを集計し、治療設計を行います。そこから3Dプリンター等で製造されたマウスピースを使用して治療を行うのが一連の流れです。従来の歯科矯正はワイヤー矯正が一般的でした。歯科業界にデジタル技術が浸透したことで、マウスピース製造の精度が上がり、歯科矯正の手法が適応範囲においてワイヤー矯正からマウスピース矯正にシフトしてきています」(金子さん)。 

予防が欠かせないオーラルヘルス

 価格を抑えた歯科矯正サービスを始めた背景には、金子さんが学生時代から歯科業界に対して抱いていた強い想いがあった。

 「私自身東京医科歯科大学の歯学部と同大学の大学院医歯学総合研究科を卒業しています。学生時代、オーラルヘルスにおいて『とにかく予防が大切』と学んできました。ただ、多くの方は、歯が痛くなってから歯科医院を訪れますよね。あれだけ予防が大事だと学んできたのに、業界内で予防へのアクションがあまり行われていない印象を抱いてきました。そこで、どうしたら生活者の方々が能動的に歯科医院を訪れやすくなるかと考えるようになりましたさまざまな参考資料にあたるなかで、ある時、歯並びにコンプレックスを抱いて歯科矯正をされる方が一定数いることがわかりました。その事実をヒントに、歯列矯正をきっかけとして、予防歯科へ繋げるサービスを提供できたらと着想しました」(金子さん)。

学生時代の学びがディパールの開発につながった

 そうして始まったディパールのサービス開発。その過程には、学生時代の学びが大きく役立ったという。

 「学部時代は、歯学部の口腔保健学科に所属し、歯科技工士の免許を取得しました。さらに、より高度な歯科領域におけるデジタル機器や材料、口腔内に装着する鋼鉄物などについて学ぶデジタルデンティストリー分野を研究してきました。卒業研究では、3Dプリンターなどのデジタルの普及よる歯科技工士の職域変化に関する研究も行いました。アメリカでは、マウスピース矯正の先行事例があり、日本でもすでにプレイヤーが常にいる状態だったため、事業として成立するイメージを明確に持つことができていましたね」(金子さん)。 

学生時代の起業で得た経験

学生時代に別分野の事業開発にも取り組んでいたという金子さん。ディパールのサービス開発に至るまでの経緯を、次のように振り返る。

 「学部生時代は、まさか自分が起業するなんて思っていませんでした。実は、大学院時代に起業した当初は、身近な存在の女子大生をターゲットにしたマーケティング分野で事業を運営していました。当時から予防歯科をテーマに事業をやりたいと思っていましたが、ビジネス経験がまったくかったことから、いきなり自分がやりたい事業に飛び込むよりは、まずビジネスや経営の基礎力をつけたいと考えたんです。大学院を卒業してからは企業に就職するという選択肢もありましたが、会社を作ってしまえば、自分が本来やりたかったヘルスケア事業の目標を果たすまで逃げられない状況が作れるとも同時に考え、そこから現在に至ります」(金子さん)。 

予防歯科の重要性

 当初から予防歯科の観点を重視して、歯科矯正の事業を始めた金子さん。予防歯科の重要性について次のように語る。

 学部生時代から、デジタル技術によって歯科業界がパラダイムシフトしていくと言われていました。日本の歯科業界大きな転換点を迎えるであろう背景として、超高齢化社会の進行というところからも、歯科分野に留まらない全身の予防医学の重要性の高まりを感じてきました。実際に、歯周病と糖尿病や脳梗塞との関連性など、口腔と全身の健康に相関があることもさまざまな研究から明らかとなっています。そもそも、歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすい。予防医学の重要性が既に研究でも分かっているのに、それに対するアクションが社会実装されていない状況にずっと疑問を抱いていました」(金子さん)。 

〝業界の常識〟を覆すことの難しさ

 業界で当たり前とされていた「歯科矯正は高額なもの」という常識を覆すこととなったディパール。サービスをリリースするまでには、業界ならではの苦労があったという。

 「提携いただく歯科医師の方からは、値段を下げることに対して反発も少なからずあり、想像以上に苦戦しましたね。そこから、弊社のビジョン実績に加えて、応援いただいている専門家の方々の情報など丁寧に伝えることを重ね、ご理解いただけるようになってきました。現在は全国で30拠点ほどと提携することができています。また、歯科業界について専門的に学んできたものの、マウスピースを制作する歯科技工所の選定はほとんど手探り状態だったので、その点でも苦労がありましたね」(金子さん)。 

自宅のケアと通院、両面からのサポート

数々の苦労を乗り越えて開発されたディパール。サービスのこだわりについて、金子さんは次のように語る。

「ディパールでは、値段を抑えながらもいかに高品質なものを届けられるかを大切にしています。治療期間中は、自宅のケアと通院メンテナンスの両面からのサポート体制を整えました。自宅は、LINEを使って気軽に日々の矯正の状況を相談いただけます。LINEアプリで歯並びの進捗経過ごとに写真を保管したり、チャットを通じて歯科医師からアドバイスをもらうことができます。同時に実際に通院いただいた時には、歯のメンテナンスなどを通し、対面で歯科医師がケアするメリットを患者さんに感じていただけるようにしています」(金子さん)。

プレスリリース時から大きな反響が

 2020年に正式にリリースされたディパールは、プレスリリース時から大きな反響があったと金子さんは振り返る。

 サービスの提供開始をお知らせするプレスリリース配信の段階で、200名ほど希望者が集まりました。大手メディアで取り上げていただけたこともあり、口コミが一気に広がったんです。世の中に潜在的なニーズがあることはわかったので、この1年は、歯科医院やマウスピースを制作する歯科技工所と事業連携面での調整に注力してきました。最近は、ご利用いただいた患者様から『歯科矯正ができてよかった』『歯並びが治って嬉しい』という声を、コロナ禍が明けてマスク着用なしの日常が戻りつつある流れのなかで、数多くいただけるようになってきているのがとても嬉しいですね」(金子さん)。 

拠点数を増やし利便性を追求したい

提携する歯科医院の数は、リリース当初1件のみでスタート。現在は全国30拠点にまで増やしサービス改善に努めているが、今後もさらに拠点を増やしていくという。

 「現状、歯科医院に車で1時間ほどかけて通院している地方の患者さんもいらっしゃいます。より多くの方々が通いやすくなるよう、拠点数を増やして利便性やアクセスの良さを整備したいですね。同時に、歯科矯正の期間をより有意義に過ごし楽しんでいただけるような、自宅で利用できるコンテンツもより充実させていきたいと考えています。直近で100件以上”このエリアにディパールがほしい”といった声が集まっています。」(金子さん)。

  歯科矯正の価格を下げる一方で、歯科矯正の価値自体が下がってしまわないように気をつけたいと金子さんは次のように続ける。 

「歯科矯正はオーラルヘルス直結する価値の高いもの生活者の皆さんにとって、歯科矯正をしていること自体がステータスと感じていただけるよう、取り組んでいきたいです。価格下げるけれど、ステータスに感じていただきたいというのは、一見矛盾しているような部分もあり簡単なことではありませんが、引き続き挑戦していきたいと思っています」(金子さん)。 

ディパールを通してイキイキと過ごせる人で溢れる世の中に

 最後に、今後の展望について金子さんは次のように語った。

 「今後は、昨今話題のAIなどのテクノロジー活用して事業を展開していきたいです。また、いずれはヘルスケア全般も取り扱う事業への拡大を視野に入れていますが、まずは歯科矯正をメインにしっかりサービス提供の基盤作りを行っていきます。そして、歯科矯正を始めれば、生涯を通して虫歯や歯周病にかかりにくくなり、全身疾患の予防にも繋がることを、多くの方に感じていただける社会を作っていければと思います。という時間をより自分らしくイキイキ過ごせる人々で溢れる世の中にしていきたいですね」(金子さん)。

取材・文/久我裕紀

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