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実用性と利便性にこだわる人に薦めたいプジョーの新型クロスオーバー「408GT」

2023.08.20

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 プジョーの4ドア+ファストバックスタイルの新型クロスオーバー「408」が登場した。今回、日本に導入される3グレードのうち、「408GT」に試乗した。「408」は流行のSUVでもなく、ミニバンでもない。最近ではクロスオーバースタイルのクルマは、日本車でも輸入車でも減ってきている。トヨタ「クラウン クロスオーバー」も似たフォルムをしているが、テールゲートを持っていない。クラウンのトランクはリアウインドウの下からしか開かないのだ。

機械として優れているか?★★★★4.0(★5つが満点)

「408」は、テールゲートが大きく開いて、後席を畳んだりして、大きな荷物を頻繁に出し入れするような使い方をする人のためのクルマである。その点だけは、SUVと変わらないが、「408」のようなスタイルの長所は、ボディー全高がSUVほどには高くならないところにある。

「408」の全高は1.5mだから、制限高1.55mの多くの立体駐車場でも駐車可能だったりする。全長4.7x全幅1.85x全高1.5(m)というボディサイズは、特に大きく感じない。また、全高が高くないということは高速道路を走ったり、長距離を走った時の安定性の高さという点でも有利に働く。SUVのように全高が高いと重心も高くなり、走行中につねに前後左右に揺すられてしまう。重量が重く、空気抵抗も大きいので燃費の面でも不利だ。「408」のようなクロスオーバースタイルのスタイルのクルマというのは、乗用車のようなかたちをしながら多用途性を高めようという欲張りなクルマなのである。

 走り始めて最初に驚かされたのが、エンジン排気量の小ささ。わずか1.2ℓの3気筒ターボエンジンは最高出力96kW130ps/5500rpm、最大トルク230Nm/1750rpmを発生しているが、数値以上に力強く感じさせられた。

 タイヤやダンパーなどのアタリがまだ付いていないからなのか、60km/hぐらいまでは路面の凹凸や舗装のつなぎ目などに過敏に反応して、タイヤが上下動する様子がそのまま伝わってくる。60km/hまでの乗り心地の硬さは、助手席ではなおさら強く感じる。

 反対に60km/h以上になると、そうしたショックをきれいに吸収していく懐の深さを見せていく。接地感も増してきて、クルマとの一体感が高まっていく。スポーツカーではないが、運転している実感がリアルに伝わってくる。身体をしっかりと保持してくれるシートも長距離運転で負担を軽減してくれるだろう。

 運転支援機能のひとつであるレーンポジショニングアシストが非常に優れていて、運転の負担を確実に軽減してくれる。高速道路や自動車専用道を走る際に車線からハミ出さないようにステアリングをアシストしてくれる機能は他車でも珍しくないが、車線内のどこを走るようにするかを任意に設定できる点が稀少だ。

 同じシステムを搭載するシトロエン「C5エアクロス」で東京から気仙沼を往復したことがあるが、このシステムのおかげで驚くほど疲れが少なかった。運転による眼と脳と右足の負担を確実にクルマ側が何割か肩代わりしてくれたからだ。

商品として魅力的か?★★★★4.0(★5つが満点)

 最近のプジョー各車で採用しているメーターパネルをステアリングホイールの上から覗き込むようなレイアウトのi-Cockpitは人によって好き嫌いがあるだろうが、見やすいことは確かだ。

 それに合わせて、操作ボタンやスイッチなども見直され、多くの機能をシンプルに表示しながら使いやすさも考慮されている。一部には、プラットフォームを共用しているシトロエン「C5 X」と同じものも使われている。「C5 X」との最も大きな違いは、「C5 X」はPHCダンパーを装備していること。PHCダンパーは日本のカヤバ製でルノーでも採用している。特徴はダンパー内部が二重構造となっており、それによって路面からの大きな入力を吸収しつつ、微細な入力にも対応できるところだ。「408GT」よりも「C5 X」のほうが安楽感がある。しかし、操縦のダイレクト感は「408GT」が上回っている。

「408」だけのことではないが、最近のプジョー各車は煩雑なテイストのディテールがボディー外観上に目立つ。テールゲート端が機能的な意味もなく尖っていたり、ボディーサイドのキャラクターラインが煩雑すぎたりしているし、セイウチの角のようなドライビングライトなどのクセも気になってくる。

 以前のプジョーのように、ピニンファリーナによるアンダーステイトメントながら、趣きの深いスタイルが懐かしくなってしまうのは、無いものねだりのノスタルジーにしか過ぎないのだろうか。

 繰り返しになるけれども、トランクが広く、出っ張りのない直方体形状で敷居部分にも金属プレートも付いているので大きな荷物を出し入れしやすい。こうしたディテールは飾りではなく、実際に使いやすいように工夫され、以前から変わらないのにはとても好感が持てる。

 税込み価格はエンジン車の「408GT」が499万円、ハイブリッドの「408GT HYBRID」が629万円。受注生産となる「408 Allure」は429万円、限定80台の「408GT HYBRID First Edition」が669万円。

速度域による乗り心地や反応の違いなどは、他のグレードでどれくらい違ってくるのか試乗して比較してみたい。流行だからというだけでSUVには飛びつかず、実質と利便性を重視しながらクルマを使い尽くしたいという人には勧めたくなるのが「408GT」だ。SUVやミニバン全盛時代だからこそ貴重な存在たり得るかもしれない。

■関連情報
https://www.peugeot.co.jp/range/peugeot-408.html

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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