【短期集中連載 Vol.3】 カジノ&ギャンブル カジノゲーミンクの中のアレコレ『バカラで勝つプレーヤー、負けるプレーヤーの特徴』
ナマステ。カジノライターのかじのみみです。皆さんは、「バカラ」をご存知ですか?バカラはカジノの中でも人気の高いギャンブルゲーム。特に日本人を含むアジアの人々に人気があるため、本シリーズの中のテーマとして選びました。タイトルは、『バカラで勝つプレーヤー、負けるプレーヤーの特徴』です。
ギャンブル性が高いバカラゲーム
カジノに限らず、紀元前から今日に至るまで、人類はギャンブルといわれる様々なゲームにアクセスをしてきた。昨今ではアナログゲームに留まらず、国内では違法のオンラインギャンブルに手を出している人もいるようだ。賭け事は「好き・きらい」にかかわらず、生命の欲求に根ざした活動とも考えられるため不滅なのだろう。
さて、カジノの中のギャンブル(Game of chance)で有名なゲームは、ブラックジャック、ルーレット、ポーカー、クラップス、大小などが挙げられるが、その中でギャンブル性が高いのはバカラゲームである。
バカラは、日本の「丁半ゲーム」と「おいちょかぶ」を足して2 で割ったようなゲーム。丁半ゲームの「丁か?半か?」の部分が、バカラでは「プレーヤーか?バンカーか?」となり、おいちょかぶ の「かぶ(9)が最強」がバカラの「9」にあたるためだ。
カードを配るときの複雑なルールはあるが、基本的に勝負の行方はこれらで図る。「早いゲーム」がバカラの特徴と言えるだろう。
「バカラテーブル ダイアモンドプリンセス・クルーズ内カジノ 2014 年撮影」
実際に、カードの絞りができないマスエリアのバカラでは、ディーラーから「No more bet」(ノーモアベット これ以上賭けはできません)のコールが出てから、1 つのゲームにかかる時間は30 秒前後であることが多い。
スピーディーなゲームであるため、カジノで大走りするタイプのプレーヤーには“相性の良い”ゲームとなってしまう。
大なり小なり、バカラで走るタイプは、例えばゲームで5 連敗を期したときなど、賭けのアクセルを思いっきり踏み込み、負けを「瞬時に」取り戻そうとする。せっかちで、いらちで、早く結果を出したい(負けてない状態になりたい)と焦るのだろう。
そのため賭金が倍またその倍とどんどん大きくなり、「大勝ち」か「大損か」のリスクの高いゲーム展開を作り上げてしまうのである。
いつも「大勝ち」ができれば最高だが、このパターンでは勝ちは長くは続かない。負け越した日が続いたある日、(もうこんな人生はうんざり!リセットボタンを押したい)と心の中で願ったとき、「破壊の神様」が出現するのだろう。
ではその反対に、5 連敗を期したときなど、バカラで勝つプレーヤー、負けないプレーヤーはその状況をどのように対処するのか。
バカラで勝つプレーヤーには“discipline”がある
筆者が過去に目撃したバカラで勝つプレーヤーは、「一旦席を離れる」ということを“意図的に”(定期的に)におこなっていた。トイレ休憩に行きたいわけではなく、喉が渇いて飲み物を買いに行くということでもない。連敗している事実を俯瞰し、気分転換をするために席を離れるのだ。
恐らく、席を離れたときの時間の過ごし方は、近くを散歩したり、他テーブルのプレーヤーを眺めたりするのだろう。新しいエネルギーを呼び込むために、周波数の切り替えをしているのではないかと感じられた。
また強いプレーヤーは決して携帯電話等に依存をしていない。人に対する依存度も低い。あらゆる面で「自己完結」ができるタイプであると思われた。
キャッシュプレーにしても、バカラ大会にしても、カジノで長時間プレーをすると体力が消耗する。ご飯もろくに取らず10 時間くらいぶっ通しでゲームをやると戦闘モードのアドレナリンが多く放出され身体は疲れているのに眠れない。
カジノホテル滞在者で”勝ち逃げ”ができ、「また明日―!」と別れをつげたプレーヤーが、1~2 時間ほどでゲームを再開するためにカジノに戻ってくるのだ。
よい気分で部屋に帰ったはずであろう。だが寝ようとして目を瞑った途端、その日の対戦者や数字が脳裏に浮かんで悶々とするのだ。交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがうまくいかないケースである。
逆に、滞在施設内のバカラの誘惑を越えて眠れる人は強い。シャワーを浴びたり、サウナに入ったり、お風呂にのんびり浸かったりして脳の活動を「クールダウン」できるタイプ。
バカラのスピードの誘惑に負けてしまう人(走る・深追いタイプ)は、やはり、その切り替えが上手ではないと言わざるを得ないだろう。
海外カジノホテルのスタッフ間では、“discipline”(ディシプリン)という言葉をよく使って状況等を表現していた。これは「律する、規律、鍛錬」などの意味であるが、バカラで勝つプレーヤーはこのdiscipline を意識し、カジノを離れた時ですらゲームとの折り合いをつける意志力をまるで「身体の筋肉を鍛えるように」日々育んでいるのだと察した。
あなたは勝つタイプor 負けるタイプ、どちらの傾向が強いだろう?
最後に一つ、日本型IR 内のバカラ運営に対して筆者の考えをお伝えしたい。カジノ区画のバカラでは、「バランステーブル」の導入がよいと思うが、いかがだろうか。
その理由は、過去の海外カジノのような青天井でどっかんどっかん!とチップが動く「鉄火場バカラ」の雰囲気を抑えることに寄与すると考えるためだ。
その他、バランステーブルに加えバンカーのコミッション5%(王道ルール)も多めに採用していただけると、ディーラーにとっては本来のディーラーの腕のみせどころ、やりがいのあるディーリング業の一つとなりうる。
様々なバランステーブルの導入は、マイルドで技術の高い「日本流バカラ」の運営を国内IR から世界に発信することに貢献するのではないだろうか。
取材・文/かじのみみ
カジノライター/ カジノコンサルタント
カジノ、ギャンブル、IR業歴31年。ディーラー歴25年。1992年より全国各地で開催された120件以上の「模擬カジノ」の企画、運営、ディーリング業に携わる。2008年から米系大手カジノ企業のVIPマーケティング・通訳・経理担当。2013年8月に同企業を離れフリーとなり、IRの誘致活動に従事。2020年以降は、カジノとギャンブル関連の執筆、スポットコンサル、通訳業に専念し、現在に至る。大阪生まれ、横浜・インドボンベイ育ち。