【短期集中連載 Vol.1】 カジノ&ギャンブル カジノゲーミンクの中のアレコレ『カジノディーラーという職業』
ナマステ!&お久しぶりです。カジノライターのかじのみみです。今回より、カジノ&ギャンブル関連の2回目の連載をスタートする運びとなりました!本シリーズでは前回とは趣向を変えて、主にカジノ区画に特化した内容でお届けします。初回はカジノの最前線で働く人たち。タイトルは、『カジノディーラーという職業』です。
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「都内カジノパーティ ルーレットを体験する顧客とカジノディーラー」
カジノディーラーという「専門職」をご存知であろうか。
近年は、わが国日本でもIR 実施法が2018 年夏に成立し、また世界のテキサスホールデムポーカーブームに乗じてディーラー職にも注目が集まってきているため、彼ら(彼女ら)の存在を知る者は巷で増えているだろう。では一体カジノディーラーとはどんな職業で、どのようにしてそのポジションに就くのか?
カジノディーラー(以下ディーラー)とは端的に、カジノ施設、カジノテーブルが設置されているエンタテイメント施設、カジノイベント、ポーカールームなどで行われるゲームやトーナメントの「進行係」である。現在、世界のカジノは140 ヶ国で合法化されていると伝えられており、これらの国々ではディーラー業務は世間で広く認知されている職位のひとつ、立派な「プロフェッション」である。
国内では主に、アミューズメントカジノ施設やアミューズメントポーカー施設、ポーカートーメント、その他エンタメ施設でカジノゲームの進行を担う人たちをディーラーと呼ぶ。
昨今では、「デジタルゲーム」を運営する人もディーラーと呼ぶ場合があるようだが、本記事におけるディーラー業はアナログゲームの進行係という役割に留めておきたい。
ディーラーはどのようにしてディーラーになるのか
「2001 年ラスベガスPCI Dealers school ピッチングブラックジャックの練習シーン」
日本でも海外でも、ディーラー業への道は主に2 通りである。ひとつは、ディーラー養成学校に通い、各ゲームのルールと基礎知識、ディーラー技術、ゲームのマナーを講師から丁寧に教わる道。養成学校を卒業した暁にはそこから紹介などをもらい、あるいは自主的にディーラー募集をしているカジノ施設にオーディション(日本では面接など)に行き、ディーリングチェック、合格通知、相互に諸条件が合えば採用となる。
もうひとつは、カジノ施設やポーカールームで先に面接を受け、採用通知を受けた場合はディーリングの研修期間に入る。「ディーラーデビュー」を果たせる最小限の技術を施設のトレーナーから学び、一通りの研修が終了した後、同施設または系列店で実践のゲームを行いながら(働きながら)ディーラーの技術向上を目指す方法である。
ディーラー養成学校での研修期間は人それぞれであるが、ひとつのゲームに対して1 カ月~3 カ月も練習をすれば、ディーリングの基礎技術の習得は大人の年齢に達していれば概ね完了するだろう。その練習内容としては、カードシャッフルをはじめ、カードの配り方、ルーレットボールの投げ入れ方、ゲームチップの配当(サイジング)、チップの計算の仕方、配当を付ける順番、タイミングなどで、その他にもカジノにまつわる英語、ポーカー用語などを随時学んでいかなければならない。
ディーラー養成学校や研修期間中は、講師・トレーナーから指導を受けわからないことがあれば質問をすることができる。しかし、実践現場では、手を動かしゲームをリードするのは「ディーラー本人」である。
毎日、家に帰ってテレビを見ながらでもカードシャッフルを練習する者は1ヵ月で多くを学ぶだろう。正し、数か月程度のディーラー技術を学んだからといって、あなたはカジノハウスや雇用主から信頼のおけるディーラーになったわけではない。施設でディーラーのデビューを果たした後、実践現場で何度もくり返し経験を積んでいかなければ、「専門職」と呼べるほどの技術と勘は身につかないだろう。
筆者が考える「経験ディーラー」とは、最低1 年以上の「ディーリング就業」のある者たちのことである。なぜ1 年以上なのか? それは、海外カジノでは現場の季節性があるため、1 年を通じて、繁忙期とそうではない時期の両方を肌で感じなければ、経験者とは呼べないからだ。
ディーリングの経験値が上がると、その実績は給料や待遇面といった形で反映されるためディーラーたちは技術の習得に余念がない。これも国内外、同じようなしくみである。
国内でディーラー業を目指す者たちは周囲に変わり者と思われるかもしれない。日本では正式なカジノは未だ存在せず、それゆえにディーラーの社会的地位も向上しにくい。給与も海外のように右肩上がりといった状況は、現在はあまり望めないだろう。それでも尚、特に20 代の若い世代はディーラー業に憧れを抱く者も少なくないようだ。
ディーラー業はきっと「ハートを強く鍛えてくれる仕事」なのだと思う。海外では数億円の勝負が展開されるカジノテーブルでディーリングを任される場合もある。プレーヤーからの執拗な「圧」に対して、心が折れそうになる場面でも、ディーラーは“クール”にカードを配るのだ。(ハートの鼓動はバクバクでも!)
「自分はきっと強くなれる」「もっと強くなりたい!」と願う星のもとに生まれた者たち。ディーラーになる人たちは、勇者との勝負に緊張やストレスを感じながらも、その対戦のライブ感を楽しむハートを同時に持ち合わせた面々なのだろう。
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取材・文/かじのみみ
カジノライター/ カジノコンサルタント
カジノ、ギャンブル、IR業歴31年。ディーラー歴25年。1992年より全国各地で開催された120件以上の「模擬カジノ」の企画、運営、ディーリング業に携わる。2008年から米系大手カジノ企業のVIPマーケティング・通訳・経理担当。2013年8月に同企業を離れフリーとなり、IRの誘致活動に従事。2020年以降は、カジノとギャンブル関連の執筆、スポットコンサル、通訳業に専念し、現在に至る。大阪生まれ、横浜・インドボンベイ育ち。