アジフライがネクストブームの兆しを見せている。
同じ揚げ物のカテゴリーで見ても、唐揚げやとんかつと比べると、どこか脇役感が否めないアジフライだが、今、全国でアジフライを看板商品に掲げるお店が増えているのだ。
2022年3月には東京・市ケ谷にアジフライ専門店である『トーキョーアジフライ』がオープンした。このアジフライブームの背景には「アジフライの聖地」長崎県松浦市の取り組みが大きく関係しているという。松浦市文化観光課の担当者がこう話す。
「現職である友田吉泰市長が2018年2月に行なわれた市長選で掲げた公約のひとつに〝アジフライの聖地を目指す〟という公約があり当選しました。その結果、アジの水揚げ量日本一の松浦市ですが、アジフライの聖地として全国にPRすることとなりました」
美味しいアジフライには、新鮮なアジが必要不可欠だ。「アジフライの聖地」を掲げる松浦市の魚市場では地元企業などの協力もあり、新鮮なアジを全国でも食べられるようノンフローズン(冷凍なし)、ワンフローズン(一度だけ冷凍)とカテゴリーに分けるなど、ニーズにあった配送にこわだっている。その結果、全国どこでも本場さながらのアジフライが提供できるようになり、じわじわとアジフライブームが拡大しているというわけだ。
課題もある。ノンフローズンは配送量がその日の水揚げに左右されるため、数量を絞ってアジフライを提供する店も多い。産地から店舗まで、こだわりを通じて提供されるアジフライなのだから、定食の主役となるのも納得だ。
都心にオープンしたアジフライ専門店『トーキョーアジフライ』
2022年3月、東京・市ケ谷にオープン。営業はランチタイムのみで、メニューも長崎県松浦市産のアジを使った「手仕込みアジフライ定食」1種類に絞った「アジフライ専門店」である(サイドメニューやドリンクなどはあり)。
【 新たなアジフライの食べ方を発見!】手仕込みアジフライ定食 1500円
そのままでも絶品のアジフライをごはんの上にのせ卵黄醤油漬けとパルメザンチーズをかけて食べるトーキョーアジフライ流は、アジフライの新時代を開くこと間違いなし! まるでリゾットのような濃厚な味わいが楽しめる。
DATA
[住]東京都千代田区九段南3-8-10 地下1階 [営]11:00〜15:00(月~土、LO14:30) [休]日曜日
聖地のアジフライが食べ放題!!『三陽食堂 博多駅地下街店』
松浦市にも工場を置く株式会社三陽が直営するアジフライ専門店。福岡本社に併設されている三陽食堂に続き、博多駅に2号店を今年6月にオープンした。
【 新たなアジフライの食べ方を発見!】アジフライ食べ放題定食 1200円
三陽食堂の魅力は何といっても聖地のアジフライが食べ放題な点だ。揚げたてのアジフライを好きなだけ食べられるほか、アジのたたきも食べ放題となっており、まさにアジづくし。
DATA
[住]福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 博多駅地下街 [営]11:00~14:00、15:00~21:00 [休]無休
夜は和食居酒屋、昼はアジフライ『酒肴 新屋敷』
店長の池田さんは「長崎県松浦アジフライ大使」を任命されているアジフライのプロでもある。夜は居酒屋営業となっているが、ランチ限定で「アジフライ定食」を提供する。
【 新たなアジフライの食べ方を発見!】アジフライ定食 1600円
水塩、海塩、オリジナルソース、梅醤油、柚子胡椒など様々なトッピングを用意。お刺身でも食べられる鮮度のアジを使ったアジフライは今までのアジフライの常識を覆す逸品。
DATA
[住]東京都新宿区高田馬場2-2-15 [営]11:30~(火~土。アジフライ定食はランチのみ) [休]不定休
アジフライの聖地・長崎県松浦市
長崎県松浦市はアジの水揚げ量が1万8718t(2022年)で日本一(※西日本魚市統計)。従来より新鮮なアジが食べられる場所としてPRをしてきたが、友田市長の当選後は視点を変え「アジフライの聖地」のPRに取り組んでいる。
取材・文/峯 亮佑
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年6月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。