行き着くところまで行き着いた感のあるサウナブーム。次に来るのは、静かなるプライベートサウナブームともいわれているが、そんなプライベートサウナ界に革命を起こしつつあるサウナがあった!
世界でも類を見ない五角形のサウナはなぜ生まれたのか?
すべては五木田氏の血が騒いでしまったことから始まった!
「友人が北海道で貸別荘をやってましてね。インバウンドが期待できなくなったコロナ後の目玉としてロシア製のバレルサウナを導入したんです。それで『1回入りに来なよ』っていうんで入ってみたら……こう言っちゃなんですけど、作りが粗悪なんですよ。穴の開いたフシのある木材……業界では『死にブシ』って言うんですが、それがあるし、隙間もある。それを見たらワタシの中に流れる材木屋4代目の血が騒いでしまったんです。それでついついカッコつけて言っちゃった。『これならもっといいの作れるよ!!』って」
数年前に材木商の業務はたたんでいたというが、何かのキッカケで忽然と燃え上がるのが、血というものである。そして一度たぎった血は、とどまることを知らないものだ。
海外製に負けない、さらには先行する日本のサウナメーカーにも負けないオリジナリティーのあるサウナを作ろうという氏の熱い情熱の下に、サウナクリエイター、建築士、宮大工の技術を持つメンバーたちが集結。
そして完成したのが、すべて日本製の木材を使用した、世界でも類を見ない五角形のサウナ「サムライサウナ」!
「木材も日本製なのは、木材は使用する場所で育ったモノを使うのが一番だから。そこでブランド杉の秋田杉を使っています。決して安価ではないため、需要が落ちているんですが、そのすばらしさを知ってもらいたいという思いもあります。そして五角形! 見た目が独特というだけではなく、ロウリュの熱が効果的に対流するんですよ。さらに内角が108度なんですが、実は人間がリラックスできる背もたれの角度は105〜110度でして……」
いわずもがな。実際に「サムライサウナ」に入ればすぐに体で感じられるのが、その背もたれ角度の圧倒的心地よさ。そもそも見た目が美しいものは、機能的にも優れているものなのだ。奥深し五角形!
しかし「サムライサウナ」が奥深いのは、五角形のサウナという秀逸なハード部分だけにとどまらない。
「ストーブはモキ製作所さんの薪ストーブがデフォルトですが、実は日本では市区町村の条例などで、薪ストーブが設置できない場所も多い。そこで、我々は設置場所を伺ってから、その場所ではどんなサウナが設置可能かリサーチをし、電気式ストーブも含めて、最も適切なサウナを提案し、大工職人、家具職人の匠の技で仕上げていきます」
実は海外製のプラベートサウナなどは、その部分を怠り、設置しても、あとで行政からの撤去命令が来る、なんてパターンも多いそうなのだ。
ハードもソフトも、日本らしい熱い情熱で充満した「サムライサウナ」。
これは日本の新しい誇りだ!
「サムライサウナ」プロジェクトリーダー
五木田高明さん
1980年生まれ。合同会社新木場ネットワークス代表。大学卒業後、福祉関連の仕事を経て、家業である90年以上続く新木場の製材会社で、木材の加工・製材の腕を磨き続けた木材のプロ。
すべてのサムライサウナの入り口の上で、渋く輝く五角形のエンブレム。そのデザインは、五木田氏の家業の製材会社の菱形の囲み文字の屋号がモチーフ。
ショールームで稼働する、サムライサウナ初号機。新木場の貯木場の潮風に吹かれ続けて2年、いい感じの経年色が出てきた。
サムライサウナが五角形意匠を想起したのと時同じくして、モキ製作所が発表した五角形のサウナストーブ『MS70』が熱源。これは運命か。
外見よりもはるかに広く感じられる室内。ストーブに火入れ後30分ほどで室内温度は90℃まで上昇する熱効率の良さ。対流熱の回りはもちろん、ストーブからの輻射熱も強烈!
ウッアウォオオォ……(真の快感時の声)
オプションで写真の水風呂槽も購入可。汚いオヤジがビキニですまぬ。でもサウナ時の水着はトランクスより絶対ビキニが気持ちよし!
ワタクシ五角形の虜になりました!
購入希望者は新木場のショールームで体験もできる。価格は施工費・ストーブなど込みで239万8000円~。
取材・文/カーツさとう