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もっと自由な発想の眠り方を。新しいお墓のカタチ「循環葬」とは?

2023.08.21

新しいお墓のカタチ「循環葬」とは

循環葬というこれまでにない、新しい葬儀の形が注目を集めている。循環葬RETURN TO NATUREを運営しているat FOREST(株)のCOOであり社会福祉士の正木雄太さんは、「自分らしい生き方の選択肢が増える一方で、誰にでも必ず訪れる死の選択肢は少ない」と言う。

「習慣や風習にとらわれず、もっと自由な発想の眠り方があったらいいのに、という想いから『循環葬』が生まれました。

枯れた木が力尽き、やがて土に還るように、人の死も自然の循環の輪の中に取り込めたら。そして、環境にも人にも負担をかけず、豊かな森を未来に遺す。そんなエンディングの新たな提案が循環葬です」(正木さん)。

循環葬は、人と地球に優しい循環型の埋葬サービス。「森と生きる・森に還る・森をつくる」を合言葉に、寺院所有の森(墓地)へ遺骨を土に還りやすく加工し、自然循環を促す独自メソッドで遺骨を埋葬している。

他の自然葬との違いは、森を利活用し森林保全を組み合わせたこと

循環葬と、樹木葬や公園葬といった他の自然葬との違いは、“死”を森づくりにつなげ、人と自然が共生する豊かな未来を目指している点にある。        

正木さんによると、循環葬と他の既存の自然葬との違いは、

・山を開拓するのではなく放棄林を整え利活用

・遺骨が自然循環しやすい循環葬を採用(循環葬は弊社の登録商標)

・墓標を建てず森全体を供養の対象とする

・売上の一部を森林保全に

・お墓参りが森林浴に

・生前から森林浴の場として使える

としている。特に永遠の眠りが豊かな森づくりへと変わって、次世代へと継承される点は、とても魅力的だ。森そのものに故人を感じられるようになる。

遺骨の埋葬は独自のメソッドで

さらに、循環葬の遺骨の埋葬方法について、正木さんに詳しく聞いてみた。

「火葬後のご遺骨を土壌と同じくらいのサイズに粉骨し、土と混ぜ、土中に埋葬します(骨壷は埋葬しません)。こちらは弊社の環境アドバイザーの神戸大学土壌学の鈴木武志助教と共同開発した方法で、遺骨は細かくパウダー状にします。土の上に遺骨を撒く散骨ではなく、土の中に遺骨を埋める埋葬となります」と教えてくれた。

神戸大学の鈴木武志助教は土壌学、肥料学の専門家。これまで廃棄物から土壌や肥料を開発して、その安全性や、地球温暖化に与える影響などを研究してきた。遺骨をパウダー状にして土中に埋めることで、森林環境の循環サイクルに入る仕組みとなっている。

現在、循環葬の森は、大阪から車で約1時間の日蓮宗霊場・能勢妙見山の敷地内にある。

副住職植田観肇さんは、「循環葬は、多様性を認める豊かな社会をつくる数多くの礎のひとつとなると同時に、森を守る人の助けとなり、世界の森を救う一助となる埋葬の形です。人は死後の安心があると、より思い切り生きられます。循環葬が人々の安心の糧のひとつとなることを願っています」と、パンフレットの中で言葉を寄せている。

撮影:中島光行 (TO SEE inc.)

埋葬後のいっさいの管理費が不要

循環葬の費用は生前契約の個別葬で77万円、合葬48万円。他にもペア割などがある。個別葬は個別葬エリアに埋葬し、個別で7年間、区画を保持できる。合葬エリアは区画を分けずに埋葬する。また、ペットと一緒に埋葬して欲しい人は、59万円でwithペットエリアに埋葬することもできる。

契約費以外に管理費などは発生せず、上記料金には墓地使用料ほか粉骨料、埋葬料、埋葬当日の法要、毎日の読経、墓地管理料、森林保全料、森林保全団体への寄付金が含まれている。

ちなみに一般的な事例として、わが家で実際に支払った葬儀費用は、墓地への埋葬料約50万円、読経料(葬儀当日のみ)20万円、墓地管理費が毎年2万円である。毎年、お盆時期に管理費が通帳から引き落とされると、「子どもの世話にはなりたくない」と言っていた親の顔が脳裏に浮かんで、たいした金額ではないのに、何ともいえない気分になる。管理費不要である点ひとつをとっても、循環葬はかなり費用が安く抑えられている印象を受けた。

撮影:中島光行 (TO SEE inc.)

循環葬の森にはウッドデッキやベンチが設置され、生前契約したメンバーや遺族は森林浴が楽しめる。現在、鎮守の森と言われる神社仏閣に隣接した森林の、維持管理が問題になっている。人手不足や管理費高騰で、森そのものが売却される事例も少なくない。

こうした森林は、神域として保護されていたため、植生が豊かで、昆虫や野生動物の宝庫となっているところも多い。森の自然保護という点からも、循環葬が期待されている。

循環葬 RETURN TO NATURE

https://returntonature.jp

文/柿川鮎子

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