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DXの加速とともに注目を集めるキーワード「ガバメントクラウド」とは何か?

2023.09.22

民間企業でDXが推進されるなか、デジタル庁は「ガバメントクラウド」への移行を積極的に進めています。この機会に、国民に利便性の高いサービスを提供するのに欠かせないガバメントクラウドとは何か、基本的なところを押さえておきましょう。

ガバメントクラウドとは

デジタル庁が進めている、複数のクラウドサービスを組み合わせて、迅速かつ安全な情報管理システムを構築する取り組みを、通称「ガバメントクラウド」と呼んでいます。まずは、ガバメントクラウドの概要と、基本的な仕組みを紹介します。

政府共通のクラウドサービスの利用環境のこと

ガバメントクラウドとは、政府機関や公共団体が業務に関するデータや、アプリケーションなどを利用するためのクラウド環境です。いわば行政機関の共通クラウド情報システムであり、国民に利便性の高いサービスを提供するために必要とされています。

近年、民間企業の間でDXに取り組む企業が増えており、最新のIT技術を社内の情報管理システムに積極活用することで、業務効率化や生産性の向上を実現しています。

一方、政府も2021年にデジタル庁を設立し、国の機関はもちろん、地方行政のDXの推進に注力しており、その一環としてガバメントクラウドの構築が進められている段階です。

※参考:ガバメントクラウド|デジタル庁Web

ガバメントクラウドの仕組み

ガバメントクラウドには、複数の事業者が構築したアプリケーションを活用します。各自治体はそれらアプリケーションの中から最適なサービスを選択可能で、自治体ごとに異なる形式で保持していたデータをクラウド上に格納し、参照できるようになる仕組みです。

各地自体は自らサーバーやミドルウエアなどを導入・運用する必要がなくなり、任意のタイミングでクラウドにアクセスすれば、必要な情報が得られるようになります。

また、ガバメントクラウドはデータの暗号化やアクセス制限はもちろん、クラウド上での脅威検知といったセキュリティーも備えています。政府機関や地方自治体が取り扱う機密情報を、安全に運用できる体制の構築が進められている状況です。

※参考:地方自治体によるガバメントクラウドの活用について|令和36月 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室

ガバメントクラウドの目的や背景

タイピングする女性

(出典) pixta.jp

日本全体でデジタル化の動きが急速に進むなか、政府も国民に対して利便性の高いサービスを低コストで提供するため、かねてからデジタル技術の活用を前提とした行政サービスの見直しを進めてきました。2018年には「デジタル・ガバメント実行計画」が打ち出され、そこでガバメントクラウドの概念が登場したという背景があります。

利便性の高いサービスの提供

ガバメントクラウドの最大の目的はクラウドサービスの利点を活用して、利便性の高いサービスを国民にいち早く提供することです。行政機関が取り扱う膨大なデータをできる限り一元管理し、さまざまな手続きをオンライン化するためのプラットフォームとして注目されています。

ガバメントクラウドは政府主導で進められていますが、その対象は国の機関や地方自治体だけではありません。日常的に行政サービスを利用する国民が、必要な手続きをスムーズに完了するためのシステムなので、国民として知っておくべき重要なトピックといえます。

デジタル化社会に向けた重点計画

ガバメントクラウドへの移行は、上記のように「デジタル・ガバメント実行計画」の策定が背景にあります。

従来、政府はセキュリティー上の問題や、業務データの移行リスクなどを理由として、クラウドサービスの活用に積極的ではありませんでした。

しかし、世界的に急速なIT化が進んでいることや、世の中の変化に応じて、柔軟に情報システムを構築・運用できる環境が求められる点などを受けて、デジタル・ガバメントの重点計画が打ち出されるに至りました。

デジタル・ガバメント実行計画には、デジタル社会の実現のために、政府が注力すべき施策が明記されており、各省庁の構造改革の必要性や、IT化の施策を世界に発信するための方針なども記載されています。

2018年に策定された同計画は改定を経て、2021年12月に「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に吸収されています。

※参考:デジタル・ガバメント実行計画|政府CIOポータル

デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和4年度募集-の公募結果について|デジタル庁

ガバメントクラウドの4つのメリット

パソコンを操作する手元

(出典) pixta.jp

ガバメントクラウドに注力するメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。各自治体にとっては業務運営コストの削減をはじめ、各機関のデータ連係が容易になり、国民にとっては上記のように、行政サービスがスピーディーに利用できます。それぞれ具体的にみていきましょう。

各自治体のコスト削減につながる

クラウドサービスを積極的に導入することで、各自治体は自前でサーバーやハードウエア、アプリケーションなどを導入・保守する必要がなくなるため、インフラコストの削減が可能です。業務に必要なさまざまなソフトウエアを管理する手間もなくなり、予算をより重要な施策に充てられるようになります。

また、民間事業者(サービスベンダー)が開発したアプリケーションを選択するので、ベンダー間の競争によるコストの削減や使い勝手の向上も期待できます。

庁内外のデータ連携が容易に

クラウド上でデータが一括管理できるようになるので、国の機関同士はもちろん、各地方自治体のデータ連携がスムーズになります。その結果、煩雑になりがちだった行政手続きの簡略化につながり、公務員の業務効率化や生産性の向上が期待できます。

特に、住民に対して新たなサービスの提供をはじめる際に、情報システムの迅速な構築・拡張が可能になり、無駄な手間やコストをかけず済むのも、ガバメントクラウドのメリットです。

セキュリティーが強化される

クラウド上でデータの活用や移行、各種設定が可能になるほか、各自治体が独自にシステムの運用監視をする必要がないため、全体としてセキュリティーが強化されます。

個別の団体では導入が難しい最新技術の活用が可能となり、高度なセキュリティー体制を構築できるのが特徴です。国の機関や地方自治体の機密情報や、住民のプライバシーに関する情報の保護に役立ちます。

行政サービスが迅速に利用できる

国民や地域住民の立場からすると、各自治体がガバメントクラウドの導入を進めることにより、行政システムを利用しやすくなるメリットがあります。行政側がシステムを迅速に構築・拡張できるようになるため、住民は便利なサービスをいち早く利用できます。

近年は多くの行政サービスがオンラインで利用できるようになっており、国や地方自治体が提供する情報も今後さらに増えていくでしょう。現状、使いづらいと評価されているサービスに関しても、クラウド環境の整備に伴い、国民がより簡単に必要な情報を得られるようになります。

ガバメントクラウドの先行事業について

パソコンを操作する男性

(出典) pixta.jp

ガバメントクラウドの本格導入に先立ち、政府や各地方自治体がガバメントクラウドの概念を理解し、その効果を実感・評価できるように、先行事業が展開されています。最後に、先行事業の内容や具体例をみていきましょう。

ガバメントクラウドの先行事業の内容

安定的にガバメントクラウドが利用できるか検証し、システムの移行方法の検証やコストパフォーマンスの評価のため、2021年から先行事業が公募されています。

ガバメントクラウドの導入を前向きに検討している一部の自治体が、基幹業務システムやセキュリティーシステムなどを導入し、可用性や使い勝手を評価するプロジェクトです。先行事業として全国で52件の応募があり、神戸市や倉敷市、盛岡市など8件で採択され、今後も引き続き実施される予定となっています。

先行事業の具体例

先行事業の具体例をいくつかみてみましょう。次のように、基幹業務システムの一部クラウド化やデータベースの利用など、さまざまなサービスの先行導入が進められています。

  • 神戸市:日立製作所や日本電気を協力事業者として、住記システムをクラウドへ移行
  • 盛岡市:アイシーエスを協力事業者として、8業務(6システム)をクラウド運用へ
  • 倉敷市・高松市・松山市:富士通Japanやアイネスを協力事業者として、1~6業務をクラウドに移行

ほかにも、佐倉市や宇和島市、須坂市、美里町・川島町、笠置町で先行事業が採択されています。詳しくは、デジタル庁の資料を確認してみましょう。

※参考:ガバメントクラウド先行事業の採択結果について(市町村の基幹業務システム)|デジタル庁 地方業務システム基盤チーム

構成/編集部

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