マンションリサーチから、中古マンションの新規登録価格と成約価格、さらに日経平均株価を加えた推移を分析したリポートが発表された。本稿では、その概要をお伝えしていく。
2023年6月「新規売出価格」と「成約価格」の差がほぼゼロに
出典/公益財団法人東日本不動産流通機構
上記のグラフは首都圏(一都三県)青の棒線が平均成約平米単価、オレンジの棒線が平均新規売出平米単価を表している。
一般的に、中古マンションは新規売出価格から一定程度、値を下げて成約に至る。これは、売り出してみてからの反響を見て売主が値下げしたり、買主による値引き交渉に売主が応じたりするためだ。
しかし、東日本不動産流通機構が発表したマーケットレポートによれば、新規登録価格と成約価格の差は2022年後半頃かからどんどん小さくなっていき、2023年6月にはほとんど差が見られなくなった。
つまり、売り出した金額のまま、値下げをせず成約にいたっている中古マンションが増加傾向にあるのだ。
日経平均株価上昇との相関は?
出典/公益財団法人東日本不動産流通機構(一部マンションリサーチ調べ)
一方、日経平均株価と新規登録価格から成約価格の減少割合はほぼ反比例の動きを示している。このまま日経平均株価が上昇トレンドを描き続けるとすれば、新規価格と成約価格の差はさらに狭まり、限りなくゼロに近くなるものと考えられる。
中古マンション市場は売主「強気」の姿勢が続くのか
マンションリサーチ調べ
販売期間が短期化し始めた2020年春から夏頃は、新型コロナウイルス感染症拡大による1度目の緊急事態宣言が明けた時期でもある。
暮らし方・働き方の変化により住み替え需要が高まったことを受け、在庫数・新規供給数が大きく減少し、価格高騰とともに販売期間はどんどん短くなっていった。
旺盛な需要も徐々に落ちつき、販売期間もコロナ禍前に戻りつつあるのが現在だ。その一方で、先述のとおり、値下げ幅(新規価格と成約価格の差)は小さくなっている。
これは、たとえ販売するまでに一定の期間を要したとしても「値下げしなくても売れる」という売主の心理によるものと推測されます。
この姿勢を形成しているのは、中古マンションの値下げ幅に強い相関性が見られる日経平均株価の上昇と考えるのが妥当だろう。
販売期間長期化も中古マンションの売主は依然として強気の姿勢
販売期間の長期化は、流動性の低下を示している。それにも関わらず、新規登録価格と成約価格の差はなくなりつつあり、売主の「強気」の姿勢が推察できる。
新規登録価格と成約価格の差の狭まりは、日平均株価の上昇と強い相関がある。日経平均株価の上昇トレンドを描いている今、中古マンションの売主の強気の姿勢も継続するものと考えられる。
関連情報
https://t23m-navi.jp/magazine/editorial/news/nikkeistockaverage-mansionprice/
構成/清水眞希