クラフトビールの勢いが止まらない。取り扱うお店やブルワリーも増えてきたが、その一方で、名前は聞くけれど何がいいのかわからない、どれを選んでいいのかわからない、という声もよく聞く。そんな読者のために個性豊かなクラフトビールの魅力と楽しむヒントをDIMEがご案内! まずは気軽に試し、自分好みの1杯を探してみよう。
ブルワリーの世界観に共感。ビールは自己表現ツールに
新しいクラフトビールのニュースを見ない日はない、というくらい日々、新しいブルワリーが誕生したり、企業や既存ブランドとのコラボ製品が登場したりしている。
ブルワリーの数はこの数年で怒涛の勢いで増え、2000年頃には200社を切っていたが、今は700社を超える勢いだ。ビアジャーナリストのくっくショーヘイさんは、「日本のクラフトビールブームは2010年代の後半から見られましたが、この2年ほどで明らかにフェーズが変わってきました」と見る。
「味へのこだわりや品質の高さはもちろん、自己表現のツールとしてもビールを活用し始めています。自分たちはこういう世界観で、こういうストーリーで造っています、と。だから地元の農産品を使ったり、B級品をアップサイクルしたり、ネーミングやラベルデザインも含めた個性=『クラフトらしさ』やその『ブルワリーらしさ』を多彩に表現しています。
それに共感した飲み手が(時にはブルワリースタッフも含めた)コミュニティを形成、アンバサダーのような役割を自ら行なったり、コアファンとして愛飲するいわゆる〝推し活〟のような流れが生まれています。クラフトビールはもはや自己表現のツールとして選ばれる時代です。飲むビールの銘柄がその人らしさの表現になっていくのでは」と、その魅力を語る。
では、その入り口へ案内しよう。
ビアジャーナリスト
くっくショーヘイさん
1989年生まれ。ビール、日本酒、ワインなど15以上の酒の資格と調理、醸造経験を有する。ビールの国際コンペで審査員も務める。
クラフトビール市場は拡大中
ビール市場に占めるクラフトビールの構成比は徐々に伸長し、現在1.5%に到達。まだまだ伸長ポテンシャルが十分にある。
※大手5社以外の国産ビールに加えて、大手5社でクラフトビールと訴求している国産ビールをクラフトビールとして商品選定を行っている。
「好みのタイプ」を知れば飲まずにいられない!
クラフトビールの特徴は何と言っても個性あふれる多様性だ。製法や原料によって種類は様々だが、くっくショーヘイさんは、まず、〝味わいの方向性〟を覚えることをおすすめする。
「ビアスタイルの名やその特徴がわからなくとも、『ラガー=すっきり』『エール=華やか』『黒=ロースト感』『白=まろやか』など味わいのキーワードがわかっていれば、好みを伝えやすくなります。ビアフェスやビアパブに行ったとき、「こういうビールが好きです」と伝えれば、それに合ったビールを薦めてくれ、徐々にクラフトビールの奥深い世界が見えてくることでしょう」