カーオーディオシステムを室内と車内で聴き比べ!
人気のカーAVと言えば、パイオニアのカロッツェリアである。なかでも2020年に登場した「TS-Z900PRS」はTADの技術を応用して抜群の高音質を実現したと評判が高い。その中心にあるのが同軸2Way型ドライバーのCSTドライバーである。単なる同軸ではなく、高域と中域の音源が同一平面上に配置されたことにより点音源再生を実現する。TADに使われたCSTドライバーと同じようにツイーターの共振を抑えるため、頂点駆動方式を採用、ツイーターとミッドレンジの隙間を0.34mmまで狭くして音質を追求している。さらに全体で3Way構成となるPRSスピーカーはウーハーが担当する中域をこのCSTドライバーで再生することにより、音場感と音の実在感を実現したという。
今回は車内だけでなく、なんとブース内にカーAVと同じシステムを組んで音楽を再生した。使われたパワーアンプとネットワーク、メインユニットもカーAV用でドライバーは専用のエンクロージャーに収められている。センターにサブウーハーが加えられた「TS-Z900PRS」は解像度が高く、音像定位のシャープな音を再現、カーAVシステムと言われなければ、ホームオーディオ機器で音楽を再生していると誰しもが思うレベルだ。フラットバランスで音色はややクール、モニタースピーカーを思わせる音だ。
引き続き同一のシステムを搭載したトヨタ「ハリアー」に乗り込んでの試聴だ。女性ボーカルを聴くとCSTドライバーがほとんどの音域をカバーしているようで、フルレンジで再生しているような音像定位でボーカルが浮かび上がる。音は鮮明で粒立ちがよく、これこそハイレゾ音源と思わせてくれた。クルマの方が室内よりスピーカーまでの距離が近いため、より音の鮮明感が際立った。音色はなぜか車内の方がややウォームになり、万人受けする傾向と言えるだろう。恐るべしカーAV、これだけ不利な条件で高音質を追求する人々がいることに驚きを禁じえない。
CSTドライバーは独立した箱に、ウーハーは密閉箱に収めらている
カロッツェリアの視聴車はハリアーの助手席だった。こちらは20分待ち程度
耳よりやや低いAピラーにセットされたCSTドライバー。音像定位的にはかなり有効な位置だ
ウーハーはドアの純正スピーカーの位置にマウント。メタルインナーバッフルを使い高音質を追求
写真・文/ゴン川野