クレジットカードも「バーチャル」の時代に突入しつつある。
即ち、物理的なカードは最初から存在せず、スマホはスマートウォッチと紐付けされる「電子化されたカード」だ。モノとしての実態は皆無である。
「そんなカード、怖くて使えない!」と言い出す人もいるかもしれない。が、クレカは電子化したほうがむしろ安全という声もある。
それは本当だろうか?
「バーチャルカード」の定義はまだバラバラ
さて、現在「バーチャルカード」という単語には様々な定義がある。
「バーチャルカードとクレジットカードは異なるもの」という定義もあるし、中には「バーチャルカード」自体を自社商品の固有名詞にしようとする企業もあるようだ。恐ろしいことに「バーチャルカードとは、当社の提供するアプリをダウンロードして利用するプリペイドカードです」と説明している企業も。
しかし、この記事における「バーチャルカード」とは「完全電子化されたカード」という定義にさせていただきたい。固有名詞ではなく、普通名詞だ。
クレカをスマホやスマートウォッチと紐付けすれば、プラスチック製の物理カードは当然必要なくなる。ならば、最初から物理カードなど発行しなくてもいいのではないか?
有効期限切れまでに徹頭徹尾、スマホアプリのバーチャルカードで済ませてしまう。筆者自身、Apple Payと紐付け可能のバーチャルカードを活用している。そうすることで、外出時に何枚も物理カードを携帯する必要がなくなる。
しかし、物理カードと比較した場合バーチャルカードの安全性は問題ないのだろうか?
バーチャルカードはやっぱり安全?
表面に番号や名前が刻印されている物理カードは、たとえ紛失しなくともその安全性に疑問が呈されている。
スーパーマーケットのレジ係が、客から一時的に預かったクレカの番号を丸暗記してあとで不正利用したという話もある。それだけの記憶力を真っ当な仕事に生かせないのかとも思うが、ともかく最近ではカード表面から番号の刻印を省いた「のっぺらぼうクレカ」が普及するようになっている。
その上で、クレカにも非接触型決済が導入されるようになったことも加味してみよう。
いわゆる「タッチ決済」は、1万円以下の少額決済であれば端末に暗証番号を入力しなくとも買い物ができる。ただ、このような場面は想定できないだろうか? 紛失したクレカを、他の誰かがタッチ決済で使ってしまうという場面だ。
そうしたこともあるから、クレカを紛失したらまずは発行会社に連絡して利用を停止してもらう。が、それでもタイムラグが発生してしまう場合もあるだろう。つまり、実際に紛失してからそれに気がつくまでの時間だ。
スマホに搭載したバーチャルカードなら、そのタイムラグの間も誰かに利用されてしまう可能性を抑えることができる。スマホの画面ロックさえ設定しておけば、本人以外がそれを利用するのは困難だからだ。