高精度GPSとオリジナル技術でインバウンド需要に対応
電通はピラミッドフィルムクアドラ(以下「PFQ」)と、高精度なGPS位置情報とオリジナル技術を採用した、乗り物などの移動空間でもサービス提供が可能なスマートフォン向けの多言語音声観光ガイドシステムを開発した。
両社は今後、本観光ガイドシステムをインバウンド需要の回復や増加なども視野に入れながら、観光客のUX(顧客体験)の向上を目指し、DMO(観光地域づくり法人)や、観光施設、メディア・報道機関、企業などへ導入を推進。
今回の発表に際しては、「海外での事業など、新たなビジネスへの展開を目指して、現在の8言語の音声対応から、今後はさらに対応言語数を増やしていく予定です」とコメントしている。
観光ガイドシステム サービスイメージ
昨今、インバウンドや日本人旅行者の国内旅行需要の回復を背景に、旅行先の文化や観光名所をより深く理解するための観光ガイドツアーも活性化してきた。
観光ガイドツアーにおいて、複数言語にも対応した音声によるガイドシステムは、旅行客に対して、現地でのコミュニケーションを補完する役割として、正確な情報を提供するための貴重なツールとなっている。
しかし、”乗り物に乗った移動空間上”で、複数言語に対応してサービスを提供する音声ガイドシステムは少なく、その需要が顕在化してきた。
乗り物に乗った観光ガイドツアーの移動空間上でも複数言語対応のサービスを提供
本観光ガイドシステムは、乗り物に乗った観光ガイドツアーの移動空間上でも、GPSを用いた正確な位置情報とオリジナル技術を掛け合わせ、複数言語対応のサービスを提供することが可能だ。
端末につながれたイヤホンを装着した観光客が、乗り物で移動しながら、あらかじめ設定されたGPS位置情報のポイントに到着すると、AIもしくは、ナレーターによる、翻訳されたツアーガイドの音声がイヤホンから自動的に流れ、ガイドを行なう。
アプリに言語情報を登録することで、GPSと連動して8か国語の音声が流れる仕組みで、ツアーガイドが操作することも可能だ。
バスや船など、一定レベルの速度が出ている乗り物でもサービス提供を行なうため、ツアーガイドによる説明が必要な名所旧跡や施設のツアーなどから、地域を広範囲に巡回するバスツアーなどにも活用できる。
第1弾として、滋賀の琵琶湖と京都を結ぶ運河である琵琶湖疏水を巡る「びわ湖疏水船」にて、来春の実装に向けた開発が進行中だ。
「びわ湖疏水船」は、通算乗船率が9割を超える人気を得ているものの、そのうち海外観光客の利用は少なく、かねてより複数外国語でのガイド対応が課題となっていた。
電通とPFQが開発した本観光ガイドシステムは、時速13kmと、中高速の速度で移動する「びわ湖疏水船」においても、GPSを補足する(一部トンネルは固定音声で対応)ことが実証実験で確認できており、同社では「4か国語の音声で海外からの観光客に「びわ湖疏水船」の魅力を伝えることができると考えています」と述べている。
びわ湖疏水船ツアー
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/
構成/清水眞希